三女とランチを食べた。
卒業式の後だ。
着慣れぬ着物に、「とっても窮屈。食べられるかしら?」とか言っていたくせに、料理が運ばれてくると良く食べた。さすがに若い。ただ、話題が4月から始まる社会人生活のことになると、少し表情が硬くなった。やはり不安なんだろう。
そこで、私自身が社会人になった34年前のことを話した。学生のままでいたいと思ったこと。同級生も同じ気持だったこと。京都駅から乗車した新幹線が東京に着かなければ良いのにと思ったこと。入社式の前の晩はドキドキして眠れなかったこと。
娘が笑い出し、
「え~っ? パパもそうだったの? なんか安心しちゃった」
と言うと、デザートのシャーベットを美味しそうに食べ始めた。
その後、娘は学部ごとに開催される集会に出席すべく、大学のキャンパスへと向かったのだが、その後ろ姿を撮ったのがこの写真だ。
「男の顔は履歴書、女の顔は請求書」とおっしゃったのは作家の藤本義一さんだが、「娘の背中は決意」のように私には見えた。悩むこともあるだろうが、たくましく社会で生きていってくれると思う。
