秩父宮バックスタンドの東芝応援席に陣取る。
こういう席での観戦は初めてだ。
と、S木君が紙袋からいろんなものを取り出し始めた。
「これ、おみやげのマスコットボールです」
後で大野選手のサインを貰ってくれるという。
「で、この帽子をかぶって応援しましょう」
ついでに記念撮影。
待つこと30分、いよいよゲームが始まった。
S君の解説付きで観戦。とにかく、選手一人ひとりについて詳しい。そこに、私たちが現役だった頃の思い出話が加わり、いつの間にか東芝のことを「東芝府中」と呼び、パナソニックのことを「東京三洋」と呼んでいる自分に気付く(笑)
さて、ゲームだが、リーグ戦ではパナソニックを圧倒したという東芝がなかなか前進できない。東芝は連続攻撃でボールをキープはしているものの、パナソニックの出足の良いデイフェンスに毎回深い位置で前進を阻まれる。その東芝の苦戦を目の当りにして、U野さんという同志社ラグビー部の10年先輩がおっしゃっていたことを思い出した。
「ラグビーの本質は地域を取り合うゲームやから、基本的には前(相手側のゴールライン)に向かって走っている選手の多い方が有利や」
目の前で起こっていることを整理すると、東芝はどうやらキックを封印してBKにボールを回し、フォローしたFWがボールを確保して2次、3次と攻撃を連続することでゲインする作戦のようだ。そして、どうやら、東芝がキックをしてこないと踏んだパナソニックは思い切ったスピードで前に出てタックルに飛び込む。
結果として、パナソニックは全員が東芝のゴールに向かって走っており、逆に東芝は戻りながらの応戦になっているではないか。U野先輩のおっしゃる通りや。
もちろん、キックは攻撃権の放棄でもあり、蹴らずに済むならそれに超したことはない。ただ、連続攻撃の度に相手ディフェンスに押され、後退しているようでは味方FWの疲労が増す一方となる。
例えば、後半開始早々に東芝はキックオフからパナソニックのゴール前まで一気に迫り、その後、モールからFWがトライを奪ったのだが、あのときの東芝FWには勢いがあった。多分、「前進の勢い」だったのだと思う。FWは前に出てこそ強いということなんだろう。そう思うと、前半、東芝FWにキックでもパントでも前に走る機会が与えられていたら、FW戦は異なる様相を呈し、東芝が有利に戦えたかも知れないなと思うのだ。
パナソニックからすれば、痛いことさえ我慢すれば止めることができる東芝の攻撃・・・・だったのかも知れない。いずれにせよ、両チームとも素晴らしいポテンシャルを持っていると思う。できれば、もう一度、対戦するのを見たいと思う。



