著者はダグラス・パーヴァイアンスさん。
1966年に結成されたニューヨークの名門ジャズクラブ、「ヴィレッジ・ヴァンガード・オーケストラ」のリーダーを務めるトロンボーン奏者だ。
自分の人生を振り返り、転機となった出会い、アルコールに溺れた時期、そこに差し伸べられた友人からの救いの手など、淡々と記しておられる。一貫して流れるのは回りの人たちへの愛情と感謝で、心温まる人生への応援歌になっている。
しかし、ダグラスさんがどうしても言いたかったことがある。それが、原題にもなっている Step out of your comfort zone (邦題が「前に進む力」)だろう。直訳すれば、「あなたにとって快適な場所から出なさい」となるが、とても示唆に富む言葉だと思う。
会社であれ家庭であれ、快適であるに越したことはないと思いがちだが、その中で惰眠をむさぼれば成長が止まり、ワクワクすることもなくなり、やがて閉塞感を感じることになるのだろう。まるで、冬の寝床のようだ。戻りたくなるが、戻ってしまっては新しい一日が始まらない(笑)
ダグラスさんも思い切って快適な場所から出られた。不安もあったし、引き返そうと思ったこともあったらしい。しかし出てみると、ちゃんとそこに自分を助けてくれる新たな人との出会いがあったというのだ。そっと背中を押してくれる応援歌、そんな感じの本だった。
