義父は金沢の出身で、若い頃からお酒が大好きだったらしい。


伯母と叔父、従兄弟たちは今も金沢在住で、義父に劣らず酒豪揃い。毎年正月になると、義父は一人金沢に帰省し、伯母や叔父たちと仲良く杯を重ねていたと聞く。そういう義父のことだ。娘の結婚相手と酒を酌み交わすのを楽しみにしていたことと思う。ところが、娘が連れてきた結婚相手の私は全くの下戸でお酒が一滴も飲めない。義父には大変申し訳なかったと思う。


その義父も、数年前に脳内出血で倒れ、身体に麻痺が残ってしまった。今は介護老人施設で暮らしている。お酒が飲めなくなったのは辛かったと思うが、皮肉なもので、規則正しい生活を送り、きちんと食事を取るようになってから、以前より顔色が良くなり、少しふっくらし、元々頭の良い人だったのだが、話をしていると昔の切れ味が戻ってきた。


私 「お父さん、最近、冴えてるようなぁ」

妻 「そうなのよ、新聞は隅々まで読むし、記憶力は衰えないし・・・」

私 「お酒大好きやったけど・・・もう、吹っ切れたのかなぁ?」

妻 「そうかなと思っていたんだけど、実はね・・・」


と、妻が私を案内したのは廊下にある掲示板。

お正月前のことで、色紙で作った「絵馬」が掲示されている。

皆さん、願い事を書いておられる。


「来年も元気で過ごせますように」

「孫がすくすく成長しますように」

「美人でいられますように」


思わず微笑んでしまう。

そして、妻の指差す先に、父の書いた絵馬はあった。

ボルネオ7番のブログ-父の絵馬


お正月には、父のために日本酒を一合買っておいた。