東京発9時27分、京都着11時41分。
京都駅からは地下鉄で松ヶ崎に向かった。
四条、御池、丸太町、今出川と停車する度に乗客が減っていく。北山を過ぎると両隣の乗客は誰もいなくなり、近くにいる乗客は前に座る老人だけになった。その老人と目が合った。気のせいか、険しい目をされているように見える。
「あっ、僕のネクタイを見てはるんや・・・」
今日はブレザーにクラブ・タイの正装できた。同志社のOBと分かっての厳しい目や。やがて松ヶ崎に着き、老人が先に立ってホームに降り立った。後に続く。追い越すのが申し訳ないように思え、3mほど後ろを歩いて改札に向かう。
「あっ、紺グレのマフラーや!」(紺グレ=紺とグレー、同志社のジャージカラー)
老人は後ろ手に紺グレのマフラーをしっかり持っておられたのだ。外に出ると東京よりもずっと寒い。パラパラと冷たい雨まで降ってきた。なのに、老人はマフラーを持ったまま私の前を歩いておられる。
「ホンマは入替戦なんて観たくもないわなぁ。お前ら、何やっとんじゃ、と文句の一つも言いたかったに違いない。せやけど、居ても立ってもいられなくて、結局、見届けに来てくれはったんや・・・」
老人の背中を見ながらそんなことを考え、ちょっとウルウルしてしまった。
最近、涙もろくなったかも。
10分ほどで宝ヶ池球技場に着いた。
(続く)