さてさて、押しが強くて頑固そうな親父さんとの会話が続く。



 私 「・・・・・という訳で、お取引はできません」

相手 「良く分かりました。わざわざお越し頂き恐縮です」

 私 「とんでもありません。では失礼します」


と、言うことは言ったし、サッサと帰ろうとすると、


相手 「あの・・・失礼ですが、鼻が曲がってません?」

 私 「はぁ、実はラグビーで鼻を3回折ってるんです」

相手 「あぁ~(嬉しそうに)やっぱりそうだ、ラグビーなんだ」


と急に笑い出し、嬉しそうな声を出されるではないか。


 私 「えっ?ラグビーがどうかしましたか?」

相手 「いやね、私もラグビーやってたので、何か同じニオイがしたんですよ」

 私 「へぇ、そうなんですか、ポジションはどちらでした?」

相手 「スクラムハーフでした」

 私 「道理で。押しが強くてワガママなのが特徴ですもんね」

相手 「なになに、スクラムハーフってそんな嫌な性格ですか?」

 私 「先輩、同級生、後輩のスクラムハーフ、みんな友達いないですよ」


と、ここで大笑いとなった。


その後は、先程までの他人行儀な会話が嘘のような楽しいラグビー談話に花が咲き、気が付くと小一時間が経過していた。


押しが強くて頑固そうに見えていた顔が、今や、強固な意志と不屈の精神を持ち合わせた凛々しい顔に見えるではないか(笑)


 私 「では、ボチボチ失礼します」

相手 「そうですか、いやぁ、会えて嬉しかったです」

 私 「私もです。久し振りに笑いました」

相手 「今度、ご飯でも食べに行きましょうよ」

 私 「そうですね・・・あの、お取引できなくて、本当にすみません」

相手 「何を言ってるんですか、気にしない、気にしない」


ここで、私はついつい思っていたことを言ってしまう。


 私 「お取引・・・できた方が・・・本当は良いんですよね?」



(続く)