早稲田が強い。
注目のファーストスクラムは成蹊ボールだったが、ボールインと同時に早稲田が猛然とプッシュ。潰されはしなかったが、スクラムが一回転し、早稲田ボールとなった。早稲田は開始早々からエンジン全開。しかし未だ私はお気楽で、「まぁ、最初のスクラムやから、早稲田も特別に気合いを入れたんやろ」。
早稲田の先制トライは開始3分。SO山中が成蹊ディフェンスの間隙を縫って走り込み、ゴールに飛び込んだもの。ただ、その前に何度か大きくオープンに展開するという布石があった。オープンに振り、敵の目がちょっとそっちに向くと、突破力のあるSOが縦に切れ込んでゲインする。「早稲田BKの攻撃は多彩やということや」。
8分、今度はFWが魅せる。成蹊ゴール前、成蹊ボールスクラムを早稲田FWが再び猛然とプッシュ。成蹊は辛うじてボールを出すものの、早稲田がSHを包囲して潰し、そのままボールを奪ってトライ。「早稲田の強力FWも忘れるな、っちゅうことか」。
開始10分を過ぎた頃から、SO山中がWTBへのキックパスや飛ばしパスを盛んに試し始める。FW戦が優勢だからできることだろうが、グランドを横に広く使おう、早くWTBにまで展開しようという意志が伝わってきた。FWから離れた場所でも勝負できる、というのは「強力FWを擁するチームとの対戦を意識してるんや」。
安定したセットプレーからボールが出る。前が空いていたらSO自らがゲインしてFWがこれに続く。又は、オープンに素早く展開する。そのためには飛ばしパスでもキックパスでも積極的に使う。心配するな、1対1ならイーブン以上に戦えるBKを揃えている。敵がこれに対応を始めたらハイパントで敵ディフェンスの気勢をそげばいいではないか。又は、敵ラインディフェンスの裏に転がすキックもあるぞ・・・・個人の力量を活かし、且つ、それらを組み合わせることで多彩な攻撃を準備したチーム。攻撃パターンの総合商社、という感じだろうか。
後半の30分を過ぎた頃、早稲田が右オープンに回し、非常に美しいトライを上げた。後半終了前にも再びSOの飛ばしパスからWTBが大きくゲインし、最後は内にボールを返してトライを上げるという、教科書に載せたいようなトライを上げた。これらは、それまでの多彩な攻撃が布石になったもので、慶應戦では素晴らしいディフェンスを見せた成蹊も、この早稲田相手ではディフェンスの的を絞りにくく、大いに苦慮したものと思える。
グランドを広く使うには相当の運動量と正確なパス、キックが求められるが、何より戦法や戦略がフィフティーンに共有されていないと、計画されたいた筈の攻撃が、孤立無援のピンチを招く無謀な攻撃になってしまう。今後の早稲田の進化に注目したい。


