金曜日の夜、駅を出て家に向かい歩き始めた。5メートルほど前を高校生のカップルが歩いている。こんな時間に珍しいが、学園祭の準備か何かで遅くなったんだろう。
二人は肩を並べ、腕と腕が触れそうなくらい、寄り添って歩いている。視線を落とすと、手の甲と手の甲も触れ合っているように見えるのだが、手は握らない。回りの目を気にしているのだろうか。
「早う手を握れ、遠慮なんかせんでええ、手をつないで歩け、俺、次の角を右に曲がるんや」という念力を一所懸命送ったら、効果テキメン、手は握らなかったが、私が曲がる角を右に曲がってくれた(笑)
角を曲がって10メートルも行くと、どちらからともなく、二人が手をつなぎ始めた。歩くスピードも少し遅くなったようだ。よしよし、それでええんや、と一人頷きながら二人を追い越した。
普段なら二人に関心を持ったりしなかったと思うが、その夜は同窓会があり、少し青春時代にタイムスリップしていたのかも知れない。学校を出て32年。みんな素敵に年を重ねているが、初々しいかと言われると、「昔の方が・・・」と答えざるを得ない。何かを得ると、何かを失うのが人生なんだろう。
亡くなった親父が良く好んで歌った「ゴンドラの唄」。
命短し 恋せよ乙女
朱き唇 褪せぬ間に
赤き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものを
80歳の先輩から見たら、我々なんぞ未だ小僧。
しっかり生きようではないか。
