渋谷までバスに乗った。
乗車して右手の優先席に目を遣ると、老婦人がお二人、赤ちゃんを抱いたお母さんが一人、座っておられる。これだけで気分が良くなった。最近はこの優先席に若造や学生が座っていたりするが、とんでもないことだ。今日の乗客は品が良いようだ。私も含め(笑)
赤ちゃんは女の子らしい。老婦人の一人が微笑みながら、「あなた、色白で目もぱっちりしてるわね。美人さんになるわ」と赤ちゃんに話し掛ける。赤ちゃんとお母さんがにこにこしてそれに応える。乗客が赤ちゃんの表情を覗き込んで微笑む。心が和む風景だ。
次のバス停でベビーカーに乗った男の子とご両親が乗ってきた。運転手さんが、「すみませんが、後ろのドアから乗車下さいますか」とお父さんに声を掛ける。それを聞いていたドア付近の青年がサッと動いて場所を空ける。なかなか気の利く青年ではないか。
ベビーカーの男の子が元気良く何やら叫んでいる。それを見た老婦人の一人が、「どこへ行くの?」と尋ねる。お父さんが男の子の耳元で何か囁く。と、男の子が「渋谷っ!」。老婦人が「何しに行くの?」。お父さんに耳を傾けた少年が「お買い物!」。回りの乗客が微笑んで顔を見合わせる。
やがてバスは渋谷に到着。お父さんが降りてバギーを運び出す。そのお父さんが男の子と会話していた老婦人に手を貸して降ろす。次にもう一人の老婦人と赤ちゃんを抱いたお母さんが降りる。それを他の乗客が自然に見守る。
何とも気分の良いバスの乗り合わせたものだ。
こういう世の中になれば良いのに、と思った。