日経のビジネス誌に面白い記事があった。

日本大学大学院 総合科学研究科の林 成之教授が書かれたもので、「バンクーバー冬季五輪で浅田真央選手がミム・ヨナ選手に勝てなかったのは実力差ではなく、彼女が大一番を前に『勝負脳』になっていなかったからだ」としている。そして意外にも、林教授は「キム選手を打倒したいと強く願い、勝負に執着したことが浅田選手の敗因だ」とまで言うのだ。


林教授によれば、脳には「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」という根源的な本能があるのだそうだ。問題は、この3つの本能に逆らう行動をすると、脳に迷いが生じてしまうと言うのだ。すなわち、「敵に勝ちたい」と思うことは「仲間になりたい」という本能に逆らうことになり、結果として脳が混乱し、集中力は高まらず、ミスをする可能性が高まるらしい。


この本能に上手く対処した選手として、北京五輪の北島康介選手の名前を上げている。北島選手には米国代表のハンセン選手というライバルがいたが、北島選手は彼を敵とは認識せず、「自分を高めてくれる大切な仲間」と意識し、「ハンセンと一緒に世界中の人を感動させる泳ぎをしよう」と考えたらしい。林教授は「脳科学的には、これこそが正しい勝負脳のあり方」と説く。


あながち、それを笑って否定できないのは、勝ちたいとか勝とうとか考える余裕がない時の方が、確かに迷いがなく力強いプレーをしたような気が私もするからだ。又、身体のどこかに怪我や故障を抱えているときの方が激しいプレーをしたようにも思う。これらは「無心」の典型例だろうが、更に、「相手は大切な仲間や。さぁ、一緒に観客を唸らせよう」みたいな心境になれたら、多分、固い表情も緩み、笑顔になるような気がする。その笑顔こそ、会心のプレーを引き出す余裕の証かも。



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