通貨が壊れるとき(アジア)2 | 香港IFA玉利の海外投資夜話

通貨が壊れるとき(アジア)2

ドルベッグ制のために
実際の経済力と対比して
過大評価されたタイバーツ。

「この矛盾は
バーツの価値が下落することにより、
いずれ解消する」

こう判断した
ヘッジファンドは1997年5月中旬、
バーツの空売りに踏み切った。

目論み通りバーツが下落すれば、
それを買い戻して巨額の利益を得る。

一方、この取引のリスクは
思惑に反してバーツが上昇することだが、
タイはドルペッグ制を採用しているので
その可能性はほぼない。

ヘッジファンドにとっては、
千載一遇のローリクスハイリターンの
投資(投機)機会だった。

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猛然と空売りをしかける投機筋に
対してタイの中央銀行は手持ちの
外貨準備を取り崩してバーツを買い支え、
一方でバーツの金利を大幅に切り上げて、
空売りを阻止しようとした。

※空売りはバーツを
借り入れてから売るので、
金利の引き上げはそれを
やりにくくする効果がある。

この措置により
一旦は投機筋の売りが沈静化し、
タイ首相も通貨アタックに対する勝利宣言をしたが、
再びヘッジファンンドの売り浴びせが始まり、
7月2日ついにタイ政府はドルベッグ制を放棄して、
バーツは変動相場制に移行した。

本来、USD1=24.5バーツだった為替は
その半年後には半分の50バーツになり、
株式相場も下落を続け通貨危機の翌年には
タイ証券取引所の平均株価指数(SET指数)が
史上最高値(1,753.73)のわずか11.8%である
207.31にまで落ち込む事態となった。

タイの通貨危機に対する援助として、
国際金融当局・機関が拠出した金額は

IMFが40億ドル
世界銀行が15億ドル
アジア開発銀行が12億ドル

日本をはじめとした
二国間支援の総額は105億ドルに上った。

危機前まで
好景気に湧いていたタイは
IMFが課した緊縮財政や利上げによって
景気が悪化し、激しい倒産と失業増に
見舞われることとなった。

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