ロシア通貨危機の余波〜LTCMの破綻(1) | 香港IFA玉利の海外投資夜話

ロシア通貨危機の余波〜LTCMの破綻(1)

前回二回に渡ってロシアにおける
通貨危機およびデフォルト(債務不履行)の
出来事を振り返ってみた。

時を同じくして、
というかまさにこのロシア危機の
問題を引き金として起こったある
金融会社の破綻が世界の金融システムを
揺るがす大事件に発展したことに触れたい。

$金融知識をフル活用して縦横無尽に世界を駆ける強い日本人の再生を目論む、香港IFA玉利の海外投資夜話-america

その金融会社の名前は、

「ローグタームキャピタルマネジメント(LTCM)」

という。

LTCMは俗にヘッジファンドと呼ばれる
一般には一部の富裕層から資金を集めて、
様々な運用や投機のテクニックを駆使して
絶対利益を挙げる運用会社のひとつだった。

LTCMの運用手法は、

「異なる種類や満期を持つ債券の
利回りの格差は一時的に拡大しても、
時間が経てばいずれは元に戻る」

という市場原理を利用したものである。

債券というのは満期に元本と利息を
合わせた一定額の金額が受け取れる金融商品だ。

一度市場に出回った債券は
相場の動きにより価格が変動するので、
安く買った人はより多くの利息を
受け取る(=利回りが高い)ことになり、
高く買った人は相対的に少ない利息を
受け取る(=利回りが低い)ということになる。

ウラを返せば、
利回りの低い債券は信用度が高い
(=デフォルトのリスクが低い)ために
誰もが欲しがるので高額で取引されているのに対し、
利回りの高い債券は信用度が低い
(=デフォルトのリスクが高い)ために
需要が少ないので安い価格で売買されている、
ということになる。

つまり、

利回りの低い債券=リスクの低い優良な債券
利回りの高い債券=ハイリスクで信用の低い債券

と理解しておくとわかりやすい。

LTCMの投資手法は、

例えば米国債の利回りが下がり、
とある会社の社債の利回りが上がるなどで、
その差が通常レベルより広がっても
時間が経てば元に戻る、

つまり米国債の価格はまもなく下がり、
社債の価格はまもなく上がることになるので、

その時点で米国債を空売りして、
社債を買っておけばその両方で儲かる、

というものであった。

この現象はごく小さな変化であり、
一度の取引からもたらされるリターンは
わずかなものであったが、

LTCMはいろいろな債券のペアの
間で発生する利回りの差を見つけて、
高速で売買をするというシステムを開発、

この

「少しずつ確実に利益をあげる取引」

を夥しい回数をおこなっていたのである。

1994年に設立されたLTCMは
この取引で年率40%以上の効率の
リターンを投資家にもたらししていた。

ただし、1997年まで。。



>>>玉利将彦のメール講座【国境なき投資戦略】

>>>>内容に満足されたらこちらをクリック!