政治統一なき通商の自由化がもたらすものは? | 香港IFA玉利の海外投資夜話

政治統一なき通商の自由化がもたらすものは?


先週の金曜日に日本が
TPP交渉に参加するための
日米間の事前協議が妥結した。

日本が国内の米や牛肉、
農畜産業を守るために譲歩を重ねて、
特に日本の得意分野である
アメリカ向けの自動車輸出において、

乗用車で2.5%、トラックで25%という
関税をTPPにおけるもっとも長い期間において
ゆっくりと撤廃するという大きな譲歩をした
というニュースが取り上げられている。

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TPPというのはそもそも
関税ゼロの自由貿易を実現し、
お互いに通商を促進することによって
平和を維持するという目的があるはずだ。

それは1930年代初頭に
世界でいくつかの通商グループができて、
その域内での自由化は進んだが
グループ外へは高い関税障壁を設けて
需要が漏れ出さないようにしたブロック経済が
第二次大戦の原因になったことの反省があるだろう。

そういう目的を持った国際協定の交渉に
早速、自国の産業を守る「保護主義的」な
部分から入るということに本末転倒の感はあるが、
お互い国内の既得権者に配慮しなければならない
という事情からなかなか理想どおりにいかないのだ。

ただ、これだけ他国への
往来が自由になった世の中では
通商やサービス、投資、労働力などの
自由化が徐々に進んでゆくのは
避けられないことに思える。

保護主義はその昔多数の国や藩に
分かれていた日本にもあって、
時代が進むとともに解消されてきたのだ。

ただ、今の既得権者は

「自分の目の黒いうちは変えてもらっては困る!」

と頑張る。

だから自由化の話を
始めるために保護したい部分から話を始める
などという奇妙なことになるが
水が高いところから低いところに流れるように
保護主義や不公平が解消されてゆくのは
抗えない流れだろう。

人、モノ、サービスの流れが
自由になることは良いか悪いかは別にして
「人類が行き着く先」だとは思うが、
それを齟齬なく完全に運営されるためには
究極的には政治の統一が必要になるのではないだろうか。

それが無い状態では
この自由化の流れからとんでもない
有利、不利が発生し、ある国が実質的に
他の国を支配する状態が発生しうる。

例えば人が(動物が)生きるのに
まず必要なのは食料であるが、
自由化が進むと食料を生産する地域と
そうでない地域がどうしてもできてしまう。

ひどいとある国では食料の自給が
ほとんどなくなる可能性も出てくる。

そうなると、
食料を自給できる国が自給できない国の
命運を握ることがあるかもしれない。

それはどこか、

「国や政治は分かれているのに通貨だけは統一している」

ある地球上のグループで
起こっていることを連想させる。



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