元々は、自動車整備をやってまして、エンジンチューンやレース関係から、軽自動車、トラック、果てはロールスやフェラーリ、ランボと言った超高級車の整備もしてました。エンジンスワップもお手のもので、自転車よりクルマの方が詳しいくらいです。


レース車両をチューンドしていた時は、タイヤもコンパウンド指定とかして特注で作って貰ったり(実は作れる)してて、タイヤに関して言えば、相当詳しいですね。


今、現状のロードバイクのチューブレス、アレ、酷いですよ。ホント、良くあんなの使う気になるって思います。


(クリンチャーにしてます。)


では、ここから歴史のお話し。


クルマだと、今はほぼチューブレスです。私が整備士に成り立ての頃は、まだチューブを入れるのもかなりあったんですよ。軽自動車とか、トラックはほぼチューブ入りでしたね。


そんなタイヤ達は、バイアスタイヤでした。そしてチューブレスになると同時に、ラジアルってなりましたね。(その昔は、ラジアルってだけで宣伝になったから、誇らしげにラジアル!って謳ってた。)

実は、クルマは、チューブレス化するのに、ラジアル構造が必要だったんですよ。


タイヤの変形、特にビートの変形が起こると、エア漏れします。なので変形しにくいラジアル構造にするしかなかったんです。

これにより、タイヤのビートとホイールのリムの密着度が格段に高くなり、チューブ入れなくてもエア漏れしなくなりました。


チューブ入りのバイアスタイヤ、特に軽自動車のタイヤって、機械使わなくても組めたんですよ。そう、タイヤの構造上、サイドが硬く無くて、手でも組めた。でもね、ラジアルになってからはそれもしんどくて、軽自動車でも機械組みになってますね。


そのくらいの差が無いと、チューブレス化は出来ないって事です。


もう一つ、何故チューブレス化するのか?です。


これは、タイヤの扁平率を下げたいからですね。

昔々は、クルマも82扁平だったんですよ。(幅と高さが同じ)それがホイールの大口径化に伴って、70とか60とかを出すに当たって、チューブでは対応出来なくなったからです。


チューブは円形でしか機能しません。

でも、変形率が低くなると、チューブは、サイド側では、薄く、楕円形、ラグビーボールのようにタイヤの中ではなります。


こうなると、チューブの横側で車重を支えきれなくなり、簡単にパンクします。なので、扁平タイヤでは、チューブレスにするしか無かったんですよ。


扁平タイヤにしないと、どうなるの?ですが、スピードメーターが狂います。これが結構問題で、車検も通らないですね。個人タクシーだと、結構インチアップしてたりしますが、これをちゃんとやらないと、メーター誤差で、営業もできなくなります。

クルマの場合、インチアップしたら、扁平タイヤにします。これはタイヤを太くするって事では無く、高さを合わせるって事をしてます。良く勘違いしているんですよ、タイヤを太くする方向だって。違いますよ。高さを合わせに行っているんです。その過程でタイヤが太くなるだけです。


この辺は、最高速ランナーだと物凄く気にする所です。

タイヤの高さ=外周の長さが正確にわかります。そしてギヤ比もわかるし、タコメーターからエンジン回転数もわかると実際の速度がわかります。で、計算値の方が重視されますね。スピードメーター読みはかなり誤差があるので。


そして、ここもチューンする箇所なんですよ。

例えば、エンジンが吹け切ってしまう場合。あと少し吹け切りが遅くなれば、300km/hに届くとか思ったりした場合、タイヤ外周を上げます。これをやると、エンジン側では、回転数を落とせるんですよ。(小学生の計算です。)タイヤ側でエンジンコントロールが出来ます。

トルクバンドで伸ばしたいとか思うなら、タイヤ外周を下げたり…ピークにゆとりを持たせたいと思うなら、タイヤ外周を上げたりしますね。


タイヤサイズを微妙に変えたりするばかりでは無く、タイヤサイズが同じと言えど、メーカーで差があったりするので、メーカーそのものを変えて対応したりしてました。


ここまで来ると、ロードバイクのチューブレスがおかしい事に気が付くと思います。


先ず、私がロードバイクのタイヤがチューブレスになるって言った時に思ったのが、扁平タイヤが出るんだ!って事。ただ、そんなもの出ませんでしたね。

後は、おそらく機械組みになるのかな?と…。


結果は、機械組みにもならず、扁平化もせずでしたww


ロードバイクの場合、チューブレスもクリンチャーもタイヤそのものの構造は変わらないんですよ。


なので、ビートにエア保持出来る機能は無く、シーラントと言うパンク修理剤を入れて誤魔化してます。


まぁ、これさ、クルマだったらクレームモノだよ。そんなタイヤ出したら、誰も買わないよ。


シーラントを入れるのがダメなんですよ。


クルマでも、パンク修理剤入れたタイヤだと、もうバランスが取れないんです。どうやってもダメ。

液体が中で違う動きしますから、バランスは取れません。ホント困る。


外した時もいちいち清掃しないとダメだし、バルブも交換するんですよ。(クルマだと、私の場合タイヤ交換したら、基本ゴムバルブだと交換しますね。アルミバルブだと、ゴムや虫は交換します。)


これは、ロードバイクでも同じですね。確実に清掃やバルブコアの交換は必須作業です。


この、タイヤが構造を維持出来ない事が問題で、この事で、ビートが外れるんですよ。


これ、よーく見るでしよ。プロのレースでもしょっちゅう問題になっているし、よーく聞きます。


まぁ、当たり前だよ、それ。


フックレスリムでタイヤが外れたとか言って、ホイールメーカー側は問題ないって言ってますよね。そりゃそうで、タイヤ側に問題があるから…。


フックレスであろうと無かろうと、外れますよ。


なので、今年のパリルーベでは、




ダブルバルブなんてのが出てますねー。

これ、考え方は、クルマで言うと、ビートブロックなんですよ。実はもうクルマではやってますね。


低圧運用するとクルマと言えどビートが外れます。それを回避するのに、ビートブロックって言う特殊なホイールを使います。これは、バギーとか砂地とかを悪路を走る車両で、極々稀に見る事が出来ます。日本だと、もうそう言う競技車両しか見ないですが…。


パリルーベだと、ビートが外れてしまうのを恐れて、大抵のチームはタイヤにビートシーラーを塗って組んでます。これも、チューンドをやっているクルマ業界だと割と使う。


引っ張りタイヤなんかだと、どうしてビートが外れやすいんですよ、そう言う時は、ビートシーラーって言う糊をつけて外れにくくします。


ロードでも同じ事をしてますね。


そう、だからパリルーベだと、太いタイヤなんですよ。


引っ張りタイヤは外れやすいけど、タイヤがリムより太かったら?そりゃタイヤがリムを抑え付けるので、外れにくいよねって事でやってます。


本来なら、タイヤを太くするなら、リムサイズも太くするんですよ。なのにしてない、タイヤだけ。それは、これが理由です。単にタイヤが外れるのを防ぐだけです。


で、こんな事やったところで…なんですよ。今年パリルーベでも、タイヤの外れが、洒落にならないくらいに問題にはなってますから…。


そして、この問題を大きくしているのがシーラントです。


先ず、ロードバイクのチューブレスシステムって、低圧運用はダメなんですよ。


外れやすくなるからですね。 仮に低圧運用するなら、最低限ビートシーラーは塗るべきで、何もしないで運用するのは、ホント危険です。


その上で、シーラントはホント、ヤバい。


シーラント入れると、軽微なパンクは止まって良い…なんて聞くんですが…それ、ホント大丈夫?なんですよ。


パンクするなら、あっさりパンクして欲しいんです。(皆さん逆!)


何故か?それは自分で気が付かない内に想定範囲よりエア圧が下がるから。です。


プロ選手ですら、低圧になったのを気が付かず、走れるからって走って、ホイールまで破損したりしています。


現状、ロードバイクのチューブレスタイヤって、エア圧だけで、ビート保持してます。


そこは、エア圧ありきなんですよ。構造上外れる構造になってます。

そもそも密着度も低く、シーラント無理矢理抑えているくらいですから。


で、シーラント入れると、軽微なパンクは止まってしまいますが、その際に抜けたエア圧は回復しません。要するに低圧になりすぎてビートはリムから外れやすくなりますね。


現状のチューブレスシステムでは、エア圧を担保出来ないって所が問題です。どんなに走る前にエアチェックしても、走り始めたら、そのエア圧を担保出来ないんですよ。途中で軽微なパンクリスクは常にありますからね。


コレが大問題で、特にフックレスだとあっさり外れて、ホイールやフレームまで終わる。


そんな事なら、あっさりパンクしてもらった方がマシで、なまじシーラントで止まるからヤバいんですよ。


チューブレスってホント低圧で使うのが危険で、そのエア圧を担保出来ないのが問題。思っている以上にエア圧が減ってたりする場合もある。


プロレベルの頻度の整備体制でも、かなり外れるので、結構ヤバいです。


チューブレスでタイヤを太くしたいのは、外れ対策です。ただそれだけ。23C以下の細いタイヤが出ないのはそれですね。下手に幅広のリムに細身のタイヤでチューブレスにしちゃうと、あっさり外れますね。最近だと、結構お速い方も低圧で使ったりするのを推奨しちゃうけど、アレ、めちゃくちゃ危ない。速いからって機構や構造を知っている訳では無いからねぇ〜。


外れ対策でパリルーベなんかだと32mmとかの太さにしたいだけ。まぁそれでも外れますが…。


じゃ、そんなのを全て解決するには…ですね。


それは、【タイヤ自体の構造を強化する事】です。

ビートの密着度を高める。それは変形しない事を意味します。ただ、そんな事すると、もう手では組めないですねぇ…。クルマのように、機械組みになります。


もちろん、リムの方も機械組みに対応する強度が必要で、おそらくそんな事は出来ないと言うか、やらないです。


なので、扁平タイヤも出せません。

シーラントを使わない、完全なチューブレスも出せません。


扁平タイヤが出たらチューブレスにするよ!って、昔から言っているのは、これが理由で、未だにチューブラーが最高って言うのも、それが理由だからです。ただ、最早、チューブラーリムで良いホイールがないので、仕方なくクリンチャーなんですが…。