最近、ロードでも、ショートクランクなんてのが流行ってますが、トラック競技を見ている私からしたら、今頃か?って感じです。
因みに、うちの奥様号は、170mm→172.5mmにしました。時代に逆行か?なんですが、私は、超理論派なので、訳もなくする訳はないです。
トラック競技だと、140mmなんてショートクランクもあり、かなり色々選べるようになりました。
で、何故、ショートクランクか?ですね。
これには明確な意味があります。そしてそこから見えてくるのは、単にショートクランクにしただけでは、意味がないって事がわかります。
ネット上で多く見られる失敗例は、意味もなく、ただショートクランクにしただけ。当然失敗しますね。
では、ショートクランクにする理由です。
ショートクランクにする前段階があって、そこを理解しないと、ショートクランク化にする意味がわかりません。
東京オリンピックの前、トラック競技のGBR(イギリスナショナルチーム)が、ロータスhopeで度肝を抜いた時に、実はもう一つ、ビッグチェーンリングを持ち込んだんですよ。
当時競輪では、フロント48Tとか44Tとか言ってた時代です。そこに60Tと言う巨大なチェーンリングを付けてきたので、皆びっくりしたんです。
で、それには訳があって。
【同じギヤ比なら、フロントは大きいと踏むチカラは少なくなる。】
と言う事だった。
要するに、4倍を作るとしたら、
52/13Tで作るより、60/15Tで作った方が、軽く回せるって事なんです。
これ、すぐに検証されて、ドイツのFESや色々な機関で検証された結果、確かにそうだ!ってなって、今は女子ですら、70Tとか回す時代になりました。
だから54Tシングルなんてしてますね。
ロードでも、アウターローからインナーで似たようなギヤ比に落とした時に、何故かインナーの方が重く感じるってありますね。それ、感じるのではなく、実際に重くなってます。
さて、トラック競技だと、そこで、単に踏みが軽くなっただけでは…です。
トラック競技の場合、ワンギヤなので、速く走るにはケイデンスを上げるしかないんです。
で、この踏みが軽くなったを利用して、ケイデンスを上げたいとなった時に、出た答えが、ショートクランクです。
ショートクランクにしたら、当然レバー比は下がりますから、踏みは重くなりますね。でも、ビッグチェーンリングにして踏みが軽くなっていたら?相殺されます。そして、ショートクランクだと、回転半径が小さくなるのて、ケイデンスは上がる。
踏みの重さは相殺され、ケイデンスが上がる効果だけが残るって事になります。
そう。
ビッグチェーンリングがあって、その後にショートクランクになってます。
では、ロードですね。
はじまりは12Sになった事です。
12Sになった時に、増えたのは、ロー側だったんです。
でも、プロ選手達は、30Tなんて使わなかったんですよ。そんな軽いギヤなんて要らなかった。
だったら、11Sと同じだろ、1T増えた所で、使わないんじゃ、意味がないってなりましたね。
で、どうしたか? です。
フロントを増やしましたね。
54/40Tや55/42Tとか、山岳ですら、このギヤ比。平坦コースだと、60Tシングルとかが当たり前になりました。
これって、トラック競技と同じ方向なんですよ。
奇しくも12Sで使わないギヤを使えるようにしたら、トラック競技と同じ事になったんです。
そして、近年だと、ガンナをはじめ、トラック競技にもロード選手が出るようになったのも後押した理由です。
ショートクランクにしたら、レバー比は下がりますから、単にショートクランクにしただけでは、元々踏むチカラが弱い方…初心者さんなどは、むしろ悪影響になりますね。
ショートクランクにしているロード乗りは、意味もなくショートクランクにだけしてますから、何やっているの?って思います。
やるなら、ビッグチェーンリングにしないと意味はない。
因みに、うちの奥様号は、余り高ケイデンスにならない。アウター、ローケーデンスで頑張っちゃうタイプ。
なので、なるべくレバー比上げて、長く踏めるように、わざわざ172.5mmにした。(アウターで勝負出来るギヤ比にしてます。)
基本的に、クランク長を変更する場合、ギヤ比も含めて考えないとダメです。とりわけショート化するなら、尚更です。
単にショート化しただけでは、何の為にやっているのか?わからないですね。
ショート化するなら、フロントギヤは大きくしろ!です。出来ないなら、安易にやるな!です。
この辺は、タイヤサイズ変更と同じです。ちゃんと理解しないと、実はめちゃくちゃ不利になってたり…なんてありますよ。