ハズレ続きだった今年の不条理劇だが、年末になってようやく満足いくものに出会えたと言っていいかもしれない
 
自己撞着のようだが、リアリティに満ちた不条理劇で、プロットも良くできていた
あとから考えると処々に伏線が張られていた
 
珍しく、買ってきた台本をすぐに読んでしまった
ト書きのおかげで劇中分からなかった部分もなるほどと思い、浜っ子である自分が途中2年間住んでいた家の徒歩10分のところが舞台なのが判明して何となく嬉しくなった
 
開演前からの舞台の光景からしてシュール
 
セットも必要にして十分、かつクローゼットの中など意外性を帯びていた
ギター、あそこで弾いてたんだとかも
衣装がかなり凝っていた
 
キャストも人物それぞれの性格を良く捉えていた
タカハシの斉藤マッチュと女の江原明里の絡みも見事だったし、スカジャンのヤンキー野村美優の啖呵はなかなか迫力があった(横浜弁ではなかった・・・かな)
 内容についてHPで公開されたものは
 
「舞台は横浜のラブホテル。

ある朝、ラブホテルで目を覚ますと、頭に斧が刺さっていた男。
どうやら彼は死んでしまったらしい。
彼と一夜を共にしたのは、家族や横浜の街の人々……誰からも愛されることのなかった、名も無き女だった

数十年後。
叔母の遺品を整理していたある姉妹は、孤独に死んでいったはずの叔母が一人の男と添い遂げたことを知る。
その男はとっくに死んでいたはずなのに、死後も叔母と共に過ごしていたらしい。
そして姉の夫である葬儀屋は、毎晩、夢の中で見知らぬ男の頭に斧を振り下ろす。

生と死を共に渡り歩いた男女の人生に巻き込まれていく・・・。」
 
あまり面白かったので買ってきた台本の冒頭のト書は(開場時から二人はベッドに寝ている)
「舞台の中央には、大きなベッド。
ベッドの脇にはサイドテーブル。その上に灰皿が置かれている。
下手にはクローゼットがあり、その前にマイクスタンドが置かれている。
床には男女の衣服が大量に散らばっている。
上手に出入り口。
劇場のギャラリー部分には、ラジオブースがある。
上手奥に、一本の電柱が立っている。
舞台中央のベッドでは女と、頭に斧が刺さった男・タカハシが眠っている。
女、むくりと起きて、タカハシの方を見る。
タカハシに刺さっている斧にそっと触れ、ベッドから出る。下着姿である。
上手へ去っていく女。しばらくして、シャワーの音がする。」

若い劇団だが、なかなかしっかりした舞台だった
「『どうせ死ぬのに』をテーマに、動かない壁を押す、進まない自転車を漕ぐ、 など理不尽な負荷を俳優に課すことで、いつかは死んでしまうのに『嘘』をついてまで生きていく人間の理不尽さを、そっと舞台の上に乗せている」そうだが、もっともっとこうした不条理の世界を展開してほしい
 
久々のアゴラ劇場でのうさぎさんとの遭遇
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
上岡敏之(指揮)
荒川以津美、山田友子、赤池瑞枝(ヴァイオリン)
渡邉千春(ヴィオラ)
室野良史(チェロ)

ブラームス/ピアノ四重奏曲第3番
マーラー/ピアノ四重奏曲 断章
ボロディン/ピアノ五重奏曲
 
昨年ピアニストとしての上岡も気に入ったので、よみうり大手町ホールにての読響アンサンブル・シリーズ“上岡敏之と読響メンバーの室内楽”を聴きに行ってみた
 
まずは上岡のピアノを弾きながらのプレトークが分かりやすかった
演奏曲や作曲家についての時間をオーバーして最後は端折りながら熱心に解説してくれた
 
ブラームスは上岡は交響曲第1番と比較しながら解説してくれたように同じハ短調で力強く情熱的に始まる
しかし、やはり北の国ドイツという憂鬱とでもいうものが感じられた
そうした中においても上岡のピアノは澄んでいた
 
マーラーは初めて聴いたがこの日一番気に入った曲
物悲しい美しい旋律で始まり、上岡が「離れるかな思うとまた戻っちゃう」といった通り、繊細ながらも濃密な主題が執拗に繰り返される
ここでも上岡のリリカルなピアノが情感をたたえたストリングスにからんで得も言われぬ世界を作っていた
ラストのヴァイオリンのソロが耳に残った
 
メインディッシュのボロディンも初めてだったが、上岡がスペインの民謡からとったのかもしれない「禁じられた遊び」に似た旋律が出てくると言っていたので興味深く聴いたが、それよりも思いのほか静かで、やはり解説にあった「ダッタン人の踊り」の雰囲気が強く感じられた
 
最近室内楽を聴く機会が多いが、昨夜のひと時をこうした曲を聴きながら過ごすのもいいものだと感じた
 
 
 
 
7月にこりっちのチケットプレゼントで観たアトエモの“Mad Journey”の九尾の狐の明るく生き生きとしてコケティッシュな演技が気に入って、SNSでやり取りしていた堀有里が主演だというので、上野ストアハウスにY's Exp.の“IBUKI”を観に行った
 
あらましは
雨宮まひるがチーフデザイナーとして働いているのはファッションブランド「To-ma Ibuki」
新たに配属されてきた上司の弥勒紀子は進み始めていた来年の秋服のデザインコンセプトを一新すると言い出した
さらに他ライン「MDM」とのコラボすることとなり、かつての同僚で今はMDMでチーフデザイナーをやっている木崎理依子がIbukiに戻ってきた
まひるのコンセプトやデザインは弥勒には全く認められず、対照的に理依子は順調に進んで行く
 
ほりゆりはまひる役
元気でコケティッシュな九尾の狐とはまったく異なった、オトナの彼女がそこにいて、内面の葛藤を良く演じていた
 
サイドでは雅役の君永佑太の演技が光っていた
ひとり終始冷めていた宗介役の渡部純一の存在も良かった 
 
必要にして十分な舞台セットが上手く芝居を活かしていた
 
さり気なく難しい言葉が使われていて劇を締めていたが、はたして観客はちゃんと分かってるかなとふと心配になってしまった