サッカーグッズ鑑定士大アナリスト -331ページ目

フランクフルト到着とガイドとの別れ

今日でこれまで同行してくれたガイドとフランクフルトで別れることになっていた。途中口論にもなったし、バカなこともしたりもしたが、今回の旅の中でも彼の存在は大きかった。もちろん言葉の問題もさることながら、長距離のドライブを含め本当に彼には感謝をしている。フランクフルトでのスケジュールを確認して、ホテルはブラジル代表が宿泊するインターコンチネンタルホテルを予約する事ができなかったもののFIFAの関係者などが宿泊するシェラトンホテルをリザーブ、ハノーヴァーに別れを告げた。

これまでの移動距離を思うと今回のハノーヴァーからの移動はたいしたことはないのだが、ここでガイドとお別れかと思うとどうしても寂しい気分になるのはやむを得なかった。途中、ハイウェイのドライブインで食事を済ませ、フランクフルト入り。すぐにホテルも見つかり、私はチェックインをすることになった。しかし、ここで重大なミスを発見!今日出発前に予約していたホテルはこのシェラトンに間違いないのだが、日付が一ヶ月もあとになっていたのである。しかも今日は予約客でいっぱいで宿泊できないとのこと、さらに同等クラスのホテルも全て予約でいっぱいらしく途方に暮れてしまった。 仕方がないので、とりあえずインターコンチネンタルホテルに向かって作戦を練り直す事にした。とにかく、フランクフルト市内のホテルに電話をかけまくってみると、このホテルに程近い安宿を教えてもらった。これまでとは明らかにグレードの落ちるバックパッカー向けの「Hotel Tourist」だが、とりあえず最終日までの予約を入れることにした。駅もすぐそばだし、インターコンチネンタルホテルも歩いてすぐなので、あとはさほど気にはならなかった。

すったもんだの末ようやく今夜の寝床を確保したところで、私はすっかり仲良くなったブラジル人ジャーナリスト達とタクシーに同乗してブラジル代表の公開練習へ向かった。中心地から少し離れた練習場は、ブラジル代表が練習をするという噂を聞きつけた現地の人々が多くかけつめていた。中にはすぐ隣が公園になっているためについさっきまで日光浴をしていたビキニギャル達も・・・。 練習は軽いウォーミングアップのあとにフォーメンションの確認、特にカウンターの対策に時間を割いていた。そして締めくくりにFK、CKのセットプレーの確認が行われた。そのFKの練習中である。いきなりアドリアーノが倒れこむシーンがあった。自分の足で起き上がれないほどでかなり痛がっていたが、そんなアドリアーノに対してロナウジーニョは容赦なく「早く立てよ!」と言わんばかりの蹴りを浴びせかけていた。これまでの練習は全て流していたので、これは演技だとすぐに分かった。疲れているから早く切り上げたかったのだろうね。 その一方で練習が始まってから最後まで常にボールと戯れていた選手がいた。中盤のレナトである。他の選手が座って休憩している時でも彼は誰か見つけてはパスやリフティングなどでボールを使っていた。しかも「ヘナト~」と声をかけられるとたとえどんな時でも親指を立ててファンに応えるのである。律儀で真面目、本当にレナトはナイスガイだ。 練習は1時間半程度で終了、帰りはタクシーがつかまらずたまたま通りかかったTV局のクルーの車に便乗させてもらう事になった。いつもホテルで顔をあわせていて、すっかり顔なじみになっていたので私のことも覚えていてくれたようだった。

ホテルに戻ってくると時を同じくして練習を終えたセレソンのメンバーも帰ってきた。しかも帰りはロナウジーニョを中心にサンバのリズム付きで・・・、この日約200人くらいいた日本人観光ツアーのおじさま、おばさま方はこの光景に出くわして目が点になっていた。結局、彼らが各自の部屋に戻るまでサンバのリズムは鳴り止まず、ちょっとしたハプニングだった。 さらにハプニングといえばホテルにレバークーゼンでプレーしている元セレソンのフランサがふらりとやってきた。すぐにブラジルのマスコミ陣に囲まれたが、日本人である私を見つけると歩み寄ってきて握手をしてくれた。(帰国してその真相を知る事になったのだが、彼はこの頃Jリーグの数チームからオファーをもらっていてすでに日本行きを決めていたようだった。その後柏レイソル入りを発表)

文 BOOTSROOM 菅谷




準決勝アルゼンチン代表対メキシコ代表戦を観戦

25日の夜にニュルンベルグを経つ予定でいたものの、今回はブラジルの喜びに付き合わされるようにもう一泊する事になった。もう一泊といっても荷物を預ける為にリザーブしておいたシングルルームに男二人で宿泊する事に・・・、さすがに同じベッドではなく私はテーブルで寝ることにした。

珍しくこの日は早めに起床、別れを惜しむかのようにバーへ直行した。入口付近では教会に行くカカーとジュリオ・バチスタのふたりがファンにサインをしていた。朝食を済ませて、すぐにハノーヴァーへと車を走らせた。今日のホテルはブラジルが予選リーグ1位通過の際に泊まる予定だったホテルだったのだが、そのまま入れ替わるようにメキシコ代表が宿泊していた。

早速思わぬ大物をホテルのフロントで発見、元メキシコ代表のGKホルへ・カンポスである。周囲の大男に挟まれるように立っていたので気付かなかった人が多かったようだが、あの人懐っこそうな顔はひとめで分かった。さらにはインターネットルームではメキシコ代表選手(誰だか分からん)とふたりっきりに・・・、パソコンの操作を教えてあげるとコーラをご馳走してくれた。 試合会場へはタクシーで約5分くらい。でも、スタジアム前の道路が両国のサポーターで封鎖されている状態だったのでなかなか先に進む事ができず、途中から徒歩に切り替えた。前回あまりにも不評だった入口付近での荷物預かりだったが、今回はそれは一切なし。おそらく相当なクレームがきたものと思われる。融通が利かないなどといわれているドイツ人でもさすがに今回はファンの声には逆らえなかったようだ。

試合は延長でも決まらずにPK戦の末アルゼンチンの勝利。決勝のカードはブラジル対アルゼンチンになった。ブラジルにとってはワールドカップ予選で負けたリベンジを果たすには絶好のシチェーションになったと言える。 ホテルに戻って食事をしていると、メキシコ代表の一団が戻ってきた。全員沈んでいてとても陽気なラテン気質を感じることはできなかったが、「残念だったね」と声をかけるとまくし立てるように応えてくれた。(もちろん何言ってるのかさっぱり分からなかったが・・・)この日の食事はペンネのトマトソースのパスタとデザート付き、ホテルも綺麗で言うことなしということで、今日は本当にすぐに熟睡に入った。

文 BOOTSROOM 菅谷

準決勝ブラジル代表対ドイツ代表を観戦

さて準決勝の朝を迎えた。朝早くからホテル前には多くのサポーターが集結していた。このホテルはセレソンだけなので多くはブラジルファンだがやはりドイツでもブラジルの人気は凄く、ヨン様来日を彷彿とさせた。朝食はマクドナルドで朝マック、その後アディダスショップなどを数件回ってポロシャツと、荷物が増えてきたためにスーツケースを購入した。海外に旅行する際には毎回帰国する時には倍上の荷物になって帰ってくるのだが、今回は最終日を待たずして早くも大荷物になっていた。

試合までの暇つぶしに、昨夜入り浸りだったバーに今日も行ってみた。昼間はクラニー(もちろんそっくりさんのほう)が働いているので、「グーテンターグ、クラニー」と声をかけた。本人はかなりテレ気味のようだった。バーで待っているとジョルジーニョのマネージャー(おそらく)を発見、「今日はジョルジーニョはどうしたんだい?」と声をかけると「今TVに出演しているのでもうすぐ戻ってくると思うよ」、やはりドイツ語を話せる彼は大忙しのようだ。 今日のブラジル陣営はかなりナーバスというか、気合の入り方が違っているように思えた。有名サポーター・ガウーショも話しているものの視線は上の空、準決勝でしかも相手は開催国のドイツということが彼らにとっては特別な一戦のように思えた。と、ここでジョルジーニョがホテルに戻ってきた。早速、私の姿を見つけてるとすかさず「元気?」「日本残念だったね」と話しかけてくれた。

ニュルンベルグのフランケンスタディオンは今回で三度目、前回のドイツ対アルゼンチン戦よりもドイツサポーターの熱気は凄く、バックスタンドに人文字で国旗が姿を表した瞬間は爽快な気分にさせてくれた。試合もサポーターの後押しを受けたドイツが二度のビハインドを追いつく粘りをみせてブラジルを大いに苦しめたものの、怪物アドリアーノの決定力が上回り惜敗、試合後の落胆ぶりは気の毒に思えるほどだった。 とは言え、ブラジルが決勝に駒を進めた。スタジアム脇でタクシーを拾い、約10分程でホテルに到着した。早速、ガイドとプロセコで祝杯を挙げ、セレソンの勝利を祝った。ホテルの外もみるみるうちに人で埋め尽くされ、周辺の道路を完全に封鎖する勢いだった。1時間ほどたってからだろうか、ホテル内も異様なテンションになってきた。ブラジル代表が戻ってきたのだ。

まずはジルベルト・シルバがバーに降りてきた。そして、別のエレベーターからはロナウジーニョが登場、この瞬間だけはホテル内のボルテージは最高潮に達した。さすがにホテル側のガードが厳しく、サインはもちろん写真撮影も厳禁で、簡単なインタビューに答えてすぐ去って行った。

その後、試合後交換したユニフォームを持ってゼ・ロベルトがやってきて、ドイツの友人にプレゼントしているシーンがあった。そして何よりレナトとジルベルト・シルバが隣のテーブルで静かに談笑しているのが印象的だった。大騒ぎするグループと静かに喜びをかみしめるグループとではっきりと分かれているようだ。レナトとジルベルト・シルバは完全に後者のようだ。(レナトはいつものように親指を立ててお決まりのポーズ)


サッカーグッズ鑑定士大アナリスト-レナト


文 BOOTSROOM 菅谷