子供に何度声をかけても練習しない。
やっと始めたと思ったら、すぐにやめてしまう。
試合では輝くのに、普段の練習ではまるで別人みたいにやる気がない。
そういった経験、一度や二度ではないはずです。
でも、ここで少し立ち止まって考えてみてください。
その「やる気のなさ」は、本当に子供の問題でしょうか。
「やらされる」と脳は疲れる
心理学に「自己決定理論(Self-Determination Theory)」という概念があります。
1980年代にデシとライアンが提唱したこの理論は、人間のモチベーションを研究した中でも特に信頼性が高く、教育・スポーツ・ビジネス各分野で現在も広く応用されています。
この理論の核心はシンプルです。
人は「自分で決めた」と感じた時に最も強くモチベートされる、ということです。
逆に言えば、どれだけ正しいことであっても、「やらされている」と感じた瞬間に内発的動機は著しく低下します。
これは子供に限った話ではなく、大人も全く同じメカニズムで動いています。
今日、実際にこれを目の当たりにしました。
長男はスクールが終わった後「今日は練習しない」と言いました。計画していたこととは違う展開でしたが、僕は何も言わなかった。
するとその後、次男が夜に練習しているのを横で見て、誰に言われるでもなく「最後もう一回がんばってから寝よう」と自分から動き出したんです。
これが自律性の力です。
親の「管理」が子供のやる気を奪っている可能性
30・40代の親世代は、自分自身が「管理される教育」の中で育ってきた方が多いと思います。
時間割、宿題、部活の強制参加。「やれと言われたからやる」という構造が当たり前でした。
その経験が無意識に再生産されます。
「毎朝6時から練習」「週に何時間は必ずやる」「今日はこのメニュー」。
親心としては完全に正しい。でも、子供の脳内では「また始まった」というシグナルが走っています。
この状態を心理学では「心理的リアクタンス」と呼びます。
自由が制限されたと感じた時、人は反射的にその反対方向へ動こうとする心理作用です。子供が「やりなさい」と言われるほどやりたくなくなるのは、反抗ではなく、ごく自然な脳の防衛反応なんです。
「じゃあ全部子供に任せればいいのか?」というと、それも違います。
完全な自由は子供を迷子にします。構造がないと、ほとんどの子供は即時の快楽(ゲームやYouTube)を選びます。それは意志が弱いのではなく、前頭前野(長期的判断をつかさどる脳の部位)がまだ発達途中だからです。前頭前野が成熟するのは、一般的に25歳前後と言われています。
だからこそ、親の役割は「決めること」ではなく「枠組みを作ること」です。
今日から我が家で実践していること。朝・昼夕・夜という3つの練習枠を設定し、その中でいつ・何分・何をやるかは子供自身がホワイトボードに書き込むというルールです。
やらなくてもいい。でも、やると書いたなら自分の言葉に責任を持つ。
昨日この話をした後、子供たちは嫌がるどころかワクワクしながら自分で時間を書き始め、しかも兄弟で時間が重ならないように自分たちで調整し始めました。こちらは一切誘導していません。
今日はその初日でした。次男は6時から1時間、長男は7時15分からおよそ1時間。それぞれが自分で決めた時間に、練習を始めました。
「量」より「誰が決めたか」が技術の伸びを左右する
今日トータルで見ると、1人あたりの練習量は1時間〜1時間半程度です。一見すると多くない。でも、その密度と集中度は明らかにこれまでと違いました。
スポーツ科学の分野では、練習の質を決める要因として「認知的関与(cognitive engagement)」が重視されています。つまり、頭を使いながら体を動かしているかどうかです。
やらされている練習では、体だけが動いて頭は働いていません。一方、自分で決めた練習では、「次は何をしよう」「今日はここを意識しよう」という思考が自然と生まれます。同じ1時間でも、吸収できる情報量が根本的に異なるんです。
次男は今日「日本代表になりたい」「バルサに勝ちたい」と目を輝かせながら言っていました。長男よりもはるかにポジティブで、どんな提案にも「行く行く!」と即答します。この差は才能ではなく、今の段階では「自分でやっている感覚」の差だと思っています。
親が本当にすべきこと。「コーチ」というよりも「環境デザイナー」になる
コーチは指示を出します。環境デザイナーは、子供が自然と動き出す仕組みを作ります。
この違いは決定的です。
コーチ型の親は、子供がやらなくなった時に詰みます。声をかけ続けなければ動かない子供が育つからです。
環境デザイナー型の親は、仕組みが機能し始めると手を離れます。子供が自分で考え、自分で動く習慣が身につくからです。
ただ、正直に言うと、これは「放任」とは真逆の関わり方です。むしろ親の観察力と設計力が問われます。子供の性格、今の発達段階、何に動機を感じるか、どこで詰まるか。これを継続的に把握しながら、枠組みを微調整し続ける必要があります。
今日僕自身も、子供2人と2時間近く家でサッカーをしながら、それを観察し続けていました。親としてはかなり疲れた1日です。でも、その疲れは「管理する疲れ」ではなく「一緒にやる疲れ」で、質が全然違います。
まとめ
子供の「やる気問題」は仕組みで解決できる
子供のやる気は、子供の問題だけではありません。多くの場合、それは「関わり方の設計」の問題です。
「やらされる練習」を「やりたい練習」に変えるために、今日からできることは一つだけです。
子供に「決める権限」を渡すこと。親はその枠組みを作るだけでいい。
その小さな一歩が、長期的には自分で考え、自分で動き、自分で責任を取れる人間を育てることに繋がっていきます。
今日お伝えしたような内容、「わかってはいるけど、うちの子にどう当てはめればいいか分からない」という方は少なくないと思います。
子供の性格、家庭の状況、練習環境はそれぞれ違います。だからこそ、汎用的なアドバイスには限界があります。
私が提供するオンラインパーソナルセッションでは、お子様の現状と親御さんのお悩みをじっくり伺いながら、その家庭だけに合った練習の仕組みづくりや関わり方をご提案しています。サッカーに限らず、あらゆるスポーツ・習い事・勉強にも応用できるアプローチです。
また、日々子供に向き合う親御さん自身の体力・精神的なコンディション管理についても、同じセッション内でサポートしています。子供を支え続けるためには、親自身が整っていることが何より大切だからです。
公式サイト
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「仕組みを変えたら、子供が変わった」
そう感じる瞬間を、一緒につくりましょう。