遂にこの日がやってきた。
放射線治療25回目、ラストの照射、ラストの診察である。
本日まで、治療は淡々と進められてきた。
全部で6、7人の技師の方が日替わりで担当してくださっていたのだが、治療中はトモセラピーとマンツーマン…マンツーマシン?であるため、必要最低限の会話しか交わしていない。
「◯◯さん、どうぞ」
「はい」
「お名前と生年月日をお願いします」
「◯◯、△△年△月△日です」
「一度前を開けますね」
「お願いします」
「では、始めます」
「お願いします」
…。
「お疲れさまでした」
「ありがとうございました」
これを、25回繰り返してきたわけだ。最終日であるからといって、お互いに特段言うべきことがあるわけではない。
トモセラピーに吸い込まれながら、このままサラッと終わるのかな、と考えていたのだが。
「お疲れさまでした」
「ありがとうございました」
「今日で最後なんですね」
「! そうなんです。大変お世話になりました。ありがとうございました。皆様によろしくお伝えください」
「お疲れさまでした。お大事に」
たった一言だったが、嬉しい。
感謝の気持を伝えるきっかけを作ってくださって、ありがとうございます。おかげさまで、無事に終えることができました。
次いで、トモセラピーにも心の中で別れを告げる。
25日間、毎回15分、顔を突き合わせ続けたトモ様、きみもありがとう。快適な治療だったよ。
なんとはなし、名残惜しいような気持ちで診察室に向かうと、今日も今日とて先生はニコニコしていらした。
「はい、これで最後まで終わりましたね。どうですか」
「変わらず、異常はありません」
「うん、じゃあ、まずは患部を見せてもらいますね」
いつもと変わらない診察が行われる。
「これは大丈夫ですね。少し赤みがあるから、軟膏は1週間後まで1日1回塗ってください。その後、2週間まで様子を見て、なんともなければ、本当にお終いです。
こちらの病院は、今日が最後ということになりますね。
この程度の赤みであれば、色素沈着もほとんど起きないでしょう」
おお、そうですか。
「その2週間で何か禁止事項はありますか。お酒とか、運動とか、温泉とか」
「何もありません。普通に生活してください、ということですね」
おおー。
ホルモン剤は続くけれど、なんというか、終わった!という感が強い。
「お世話になりました」
「お疲れさまでした」
最後のご挨拶をして、先生ともお別れする。
診察室を出る時に、看護師さんに1枚の紙を渡された。
終了後の注意事項である。
・照射の影響による皮膚の日焼けのような状態は、治療終了後1〜2週間がピーク。1ヶ月ほどで元に戻っていくが、その間は皮膚を刺激しないように気をつけること。
・副作用(肺炎、肺臓炎、リンパ浮腫)の症状がある場合は、早めに主治医の診察を受けること。
うん、どちらも今のところ大丈夫そうだ。
会計を済ませ、病院を出る。
明日から通わなくてよいということが、まだ少し信じられない。本当に呆気なく終わったものだ。
しかし、こうして無事終了したのは、S先生を筆頭に、病院の皆様のおかげである。
感謝、感謝!