術後2週間を過ぎた頃、右上腕内側の、痺れや突っ張り感を伴う痛みが、なかなか改善しないことに悩んでいた。

日常の家事等で、特に困ったのは以下のようなこと。
・靴下を履く
足先に手を持って行くまではなんとかなるが、靴下を上げるため、少し力を入れるとイタタとなる。同様に、風呂で体を洗う時も、うっかり足先に手を伸ばしては、悶絶していた。
・拭き掃除
力を入れた状態で、左右に振るのが痛い。結果、家のあちらこちらの隅には、不本意ながら、未だ拭き残しが散見される。
・洗濯物干し
手を伸ばしてピンチを開くのが、もう辛い。左手でやろうとしても、結局、洗濯物を支える右腕に変な力が入って、ウッとなる。

集約すると、
・遠くのものに手を伸ばすのが痛い。
・手を伸ばして、力を加えるのが、特に駄目。
・腕を上げる時に肘を曲げると幾分かマシ。
という感じだ。

退院時、理学療法士さんに言われた通り、日に数回は腕を前と横に上げる運動をしていたのだが、回復の実感がない。直接の傷跡がないのに、傷口よりも強い痛みが続くことに、不安が募ってきた。

その頃には、父の介護にも復帰して、それなりに活動を始めていた。
ある日、病院の送迎をする中で、少し重さのある荷物を持って一日過ごしたところ、痛みの範囲が上腕から前腕までに広がった。なんなら、首筋も痛い。
急に無理をしたのも良くなかったのだろうが、現時点でのわたしの生活習慣的に、このくらいできなくては困る。
これは、もう少し取り組みを強化したほうがよいのでは。
いよいよ、真剣に対処を考えることにした。

とはいえ、はて、どうしたらよいものか。

神経に障る痛みであれば、あまり動かさないほうが良さそうな気もするが、理学療法士さんにはなるべく腕を上げるようにと言われているし、筋肉が固まって、これ以上可動域が狭まってしまうのは避けたい。

自分の状態に当てはまりそうな症例をネットの海で探してみたり、あれこれ考えてはみたものの、素人では限界がある。自力解決は早々に諦めて、細々と続けているヨガの先生に泣きついた。先生は快く、個人レッスンで、今のわたしに合わせた体の伸ばし方を教えてくださることになった。

レッスン当日、
「この動きはどうですか」
「大丈夫…あ、ここからは大丈夫じゃないです」
「肘を曲げたら、どうですか」
「曲げれば、できます」
「それであれば、この体勢は?」
「いける気がします」
2時間かけて、手先から足先まで、できることを確認しながら、効果的な伸ばし方を探していった。

最終的に、「直接伸ばそうとすると強い痛みが出るため、遠くからアプローチしたほうがいいのではないか」というご意見を頂き、指先、手首、前腕、首と肩甲骨をメインに動かすストレッチを、日常的に続けることにした。

ヨガの先生に教わった、指先から前腕までのストレッチに加えて、YouTubeで以前から気に入っていたストレッチ動画を採用して、首、肩、肩甲骨をほぐす。
1日サボればその分確実に固くなるから、できれば毎日。
あまりがんじがらめにルールを決めるのは向いていないので、ともかく、その日のうちのどこかで1回やれば良し、ということにした。普段のわたしであれば三日坊主のところだが、このまま腕が伸ばせなくなるのでは、という危機感が、毎日のストレッチを後押しする。
1週間ほど続けたところで、少し、楽になったような気がしてきた。どうやら、無理のない程度に色々な場所を色々な角度から動かす、で正解だったらしい。

術後1ヶ月を過ぎた今も、まだ完全には伸び切らないし、高い場所、遠くのものに手を伸ばす時には、つい痛くない左手が出てしまうようになっている。
重すぎるものを長時間持つと、覿面に翌日痛みが出る。
それでも、靴下は履けるようになったし、物干し竿も一段高くできた。
日々少しずつ改善しているのを感じるので、今しばらくはこの習慣を続けてみようと思う。

※※※※※※※※※※

素人の自己判断である上、ひとりひとり症状は異なるだろうから、参考になるかどうか謎ではあるけれど、わたしの日課のストレッチはこちら。

基本は、オガトレさんの『肩甲骨硬い人向けストレッチ』の『超超硬い』と『超硬い』を通しで。
腕を伸ばす場面では、適宜、肘を曲げて。負荷は、伸びているなと感じるくらい。痛すぎないところまで。
くれぐれも、痛すぎないところまで!



もうちょっとライトにやりたい時は、『腰痛・首こり・肩こりを“まとめて解消”するストレッチ』