景気も相場も「気」から。足元での好転要因を見逃すな このところ発表される経済統計に明るい数字が相次いでいる。
8日発表の「11年10-12月GDP第2次速報」が設備投資の急増を受け、前回予想の▲2.3%から▲0.7%へと、マイナス幅の縮小という形ながら上方修正され、同じく「2月景気ウォッチャー調査」の現状判断DIが45.9(前月44.1)、先行き判断DIが50.1(47.1)とともに改善した。
特に、別名「街角景気」といわれ、生活者や企業経営者の心理状況を端的に示すとされる景気ウォッチャー調査の先行き判断DIが好・不調の分かれ目である50を超えたことは注目すべき出来事である。これは、実に2007年以来のこと。タイ洪水も大震災も、さらにはリーマンショックどころか、サブプライムショックで世界的な株安が始まる時期の直前の水準、である。
為替の円高一巡観、復興関連予算の執行、エコカー補助金の復活、さらには株価の回復などがこうしたマインド変化につながった、ということだろう。米、欧、日の金融当局による相次ぐ金融緩和政策が株高の背景として指摘されることが多いが、それだけではないことにも注意しておくべきだろう。
「景気は気から」とは、この「景気ウォッチャー調査」の発案者でもあった堺屋太一元経済企画庁長官の言葉だが、諸々の状況が株高・景気回復を支えているのである。
12日に発表された1月機械受注も設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」が2ヶ月ぶりプラスの△3.4%(前月▲7.1%)。これは市場予想の△2%を上回った。なかで、基地局投資が活発な通信事業者からの受注が26%増と伸びたことなどを背景に「スマホ関連」の人気が広がり、ツガミが昨年来高値を更新してきているのもこの統計発表がきっかけ。工作機械、建設機械、一般産業機械を含め、機械受注の好調ぶりは株価への格好の刺激材料。景気回復を先取る相場がここから始まるか、と少し先回りして考えてもいいかもしれない。
そういう意味で注目したいのがキーエンス(6861)。いうまでもなく、工場の生産工程を制御するFAセンサーのトップ企業。利益率は上場企業の中でも屈指の高さ。代表的な設備投資関連銘柄でもある。1月末に発表された今12年3月期4~12月期は相次ぐ天災の影響で国内生産に停滞感があったが、需要急拡大が続く新興国や欧米向けが好調。純利益が419億円と前年同期比3%増を確保した。売上高は過去最大となったほど。
この業績好調を背景に、今3月期末で1株を1.1株に分割する株式分割を実施する。その基準日は3月14日(この会社は20日決算)。15日の権利落ち以降の動きに注目だ。過去、03年、06年、09年と3年おきに1.1株への株式分割を実施してきたが、権利落ち価格で買い付けても月内に一定の成果が得られた実績がある(月末にかけての上昇率=03年△9.5%、06年△4.7%、09年△6%)。
もちろん、権利を取って保有し続けてもOK、というタイプの銘柄でもある。来13年3月期の業績は過去最高利益の更新が視野に入ってくる。この決算発表が行われる4月末ごろには相場のトレンドも大きく変わってくるだろう。