押し目なし、とはこのことか。セオリー覆す強力買い人気エルピーダの会社更生法申請というニュースは衝撃的な材料ではあったが、市場心理的にはサプライズとは言いにくい。政府の出資を受けて再建中という点に一種の“安心材料”があったが、それも万能の護符ではなかった、ということか。
前場安かった日経平均が後場になってプラスに転じるという反応。こちらの方がビックリである。市場が調整を欲しがっていたところにエルピーダ破綻という格好の理由、それも極めて分かりやすい材料が現われたことで、一斉に押し目買いが入った、というところか。前回も書いたが、13週線と26週線が先週ゴールデン・クロスした後はいったん調整局面を迎えるもの。しばらく足踏みしつつ、過熱状態を冷ますという流れが恐らく本来の動きだろう。それを覆してしまうような展開とは…。
この日、大手証券から出たレポートによると、エルピーダは2008年に大量の発注キャンセルを行い、半導体製造装置メーカーの業績に深刻な被害を与えた経緯があったという。その後の業績低迷もあって大手製造装置メーカーが抱えた受注残は僅少で、今回の破綻による影響も軽微とみられている。実際、この日はニコンが安く寄った後に切り返し、前場段階からプラスに転じていたのをはじめ、大手製造装置銘柄は底堅い動き。日本マイクロニクスのように、依存度の高い銘柄を別にすれば、それほどの衝撃ではない。
面白いのは、エルピーダの母体というべきNEC、日立、三菱電機の3社の株価。引け値ベースで見ると、NECが▲4円安、日立が△2円高、三菱電機が△5円高と反応にはっきりと明暗が出てしまった。
NECといえば、筆者の今年の注目株。日本にとって今年は「宇宙開発元年」といっていい年。「はやぶさ」のNECといえば、その関連株の中でも欠くことのできない存在-という見方に変わりはないが、収益改善への取り組みが評価されない限りは人気の舞台には立てない。本気で経営改革に取り組むのかどうか、残念ながら、しばらくは現経営陣のお手並み拝見となりそうだ。
この3銘柄の反応の違いが「エルピーダ効果」といっていい。低位株への人気は根強く、こうした底値圏離脱局面では低位・割安銘柄が浮上するものだが、それでも内容の吟味が不可欠という、ごく常識的な教訓を与えてくれた。そこがポイントのような気がする。
さて、逆行高銘柄につけ、が相場の定石。全般がこのまま突っ走るとするなら、その切り返しの尖兵となったニコン(7731)には重要な使命が与えられるだろう。信用取り組みは2月17日現在売り残165万株、買い残51万株と決して水準自体は高くないが、取り組みは拮抗状態にある。実はこの株、27日に10年3月の戻り高値2210円を上抜いてリーマンショック後の高値更新となった銘柄である。需給、株価位置ともに申し分ない。