地方に本社を構える企業は新聞記者やアナリストが足を運ぶことが少ないため、往々にして企業情報が外部に出にくい。その分、時としてびっくりするような材料(プラスもあれば、マイナスもある)が出現する。
北九州市に本社がある安川電機(6506)もそんなサプライズ型銘柄の典型。昨年10月17日の12年3月期中間決算発表時には、中間期営業利益が92億5200万円と従来予想(80億円)を大幅に上回ったものの、通期見通しを下方修正(営業利益200億円→140億円)するという“複雑”なディスクロを行ったことで、発表直後に急落。その後に切り返して全般保ち合い相場のなか、2週間ほどで1割高を演じるという経緯もあった。
今回の第3四半期決算でも何らかのサプライズがあるのでは、と期待して先週からこの安川電機に注目していたが、結果は「悪くないが想定内」といった内容だった。すでに伝えられているように、営業利益は112億2100万円。これは前年同期比46%増と変化率は高いが、上半期の貯金が大きい。
四半期ベースで営業利益の推移をみると、第1四半期47億2100万円、第2四半期45億3100万円、第3四半期19億6900万円と、第4四半期で利益が急減している。これは主力のモーションコントロール事業(省エネ機器向けインバータ、FA機器のACサーボモータ・コントローラなど)が中国やアジア各国の需要が伸び悩んできているため。代わってロボット事業が自動車の生産回復を受けて前年比21%増と急増しており、それが全体の落ち込みを支えている格好。
だから、通期見通しも微妙。会社側は通期見通しを140億円(前期比8.7%増)と、10月に下方修正した数字を変更していない。計画では第4四半期の営業利益は27億7900万円。第3四半期から回復する見通し。この1~3期間の通期計画に対する達成率は80%であり、常識的には増額余地がある。仮に増額修正があるとすれば、3→4への変化率がV字型となってくるから、相場的にも面白くなるだろう。
株価は8月30日の高値731円が戻りのフシ。この日も700円台回復後に押し返されており、この700円台のフシを突破できないと相場は立ってこない。信用買い残も再び増加してきており、ピーク時(9月22日現在)の576万株に対して直近495万株と、機関投資家が肩代わりするかどうか、ここはジックリと構えてみたい銘柄である。
ここでは、もっと穴っぽい銘柄に注目したい。これもローカル企業、石川県に本社があるJASDAQ上場のタケダ機械(6150)。建築鉄骨、軽量ハウス、橋梁などを主要ユーザーに形鋼加工機械を主力としており、東日本大震災の復興需要の後援部隊といった位置づけにある銘柄だ。
大震災直後に一時止まった納入が今期に入って再開していることや自動車関連業界向けの丸鋸盤の大口受注もあったことから、今12年5月期上半期業績は売上高、利益ともに期初計画を上回る達成となった。ただ、通期見通しは計画(4期ぶり黒字転換)を据え置き。「復興関連では引き合いが出ているが、具体化するのはこれから、と期待している」(会社IR担当役員)という。つまり、楽しみはこれから、といっていい。
株価は昨年9月に154円の高値をつけた後、5ヶ月に及ぶ三角もちあいを形成中だ。次第に下値を切り上げて因縁玉消化を進めており、形は悪くない。
ところで、このタケダ機械のチャートを6年前に遡っていただきたい。05年の半ばにも180円中心に半年ほど三角もちあいを形成したことがあった。その後、11月にかけて短期間で株価倍増近い急騰相場を形成したことがある。この時も業績が長期赤字状態から脱し、急回復するという背景があった。今回も同じようなパターンになるかもしれない、と思っている。