日経平均株価は4月1日ザラ場で9822円まで戻した後、直近はやや上回る場面もあるが、基本的には下降中の25日移動平均線に上値を押さえられる軟調地合いが続いている。TOPIXもほぼ同様の動きに。ただし、NT倍率(日経平均株価÷TOPIX・ハローコード<0139>)は、円安に一時振れたこともあり、日経平均株価優勢の動きとなっていることを示す。しかし4月6日以降は円高傾向になっているにもかかわらず、ほとんどNT倍率は低下しておらず、これは海外で展開している国際優良株の方が、出口が見えない内需系銘柄よりも"まだ、まし"と投資家が判断している可能性もある。
いわゆる復興関連の急騰も一巡し、個別に新たな復興銘柄を探すという局面に入っているが、これらはほとんどが建設グループを中心とした内需株である。この一群の上昇が一巡すると、相対的に取り残されていた日経平均採用銘柄が優位になってくるのも致し方ないところか。もちろん、<6301>コマツのように国内外で必要とされている銘柄は年初来高値圏で強気の動きを継続している。
多くの投資家がご承知のように、福島原発事故の行方が当面は株価の最大の動意要因となる。しかし、残念なことに原発事故に収束の兆しが見えないことから、阪神・淡路大震災の時のように復興に全力を尽くすことに難渋しているのが実態である。
もちろん、今回の東日本大震災と原発事故の被害を受けた東北地方に拠点を置く企業だけがダメージを受けるわけではない。東京を中心とする関東地方も精神的なダメージは大きく、"もっと消費しよう!"という掛け声も道理に合わないわけではないが、ぜいたく品や嗜好品に散財する気持ちにならないというのが正直なところ。もちろん、住宅や自動車などの高額品を買い控える動きは日本全国に広がることだろう。実際に3月の百貨店売り上げや新車販売台数はかなり落ち込んだようだ。
反対に、食糧や生活用品などに代表される生活必需品のニーズは高まる。東北地方は米作や漁業という観点から、日本の台所とでも言うべき重要な地域であった。海水が押し寄せた田畑や、原発に近い場所の農地の作物、そして海洋汚染の影響を受けた水産物、そして畜産業は壊滅的ともいうべき打撃をこうむった。今年1年だけの我慢というならば、まだ希望が残るが、先が見えないというのが現状である。今後の米価の上昇を見越してか、米穀卸の<9305>ヤマタネは商いを膨らませて震災前の株価水準まで反発している。<2109>三井製糖も年初来高値圏にある。商品市況としては海外の石油(コード<0470>)や金価格(コード<0454>)は上げ一服となっているが、世界的なインフレ懸念は根強いため、<1605>国際石油開発帝石や<5713>住友金属鉱山などもアヤ押し狙い候補となりえよう。<1671>WTI原油価格連動型上場投信(大証)やロンドン金地金に連動する<1672>ETFS金上場投資信託などの上場投信などにもウオッチしておきたい。
日経平均株価に話を戻すと、9500-9700円程度のレンジは完全に26週移動平均線を割っている。ちなみに前回、26週線を割ったのは昨年5月上旬であった。昨年の最高値を4月5日に示現した後、下降トレンドへの転換が決定的になったポイントともいえる。8月31日まで平均株価は低落し、26週線を突破できたのは昨年11月上旬であった。その後、今年2月21日までの順調な上昇トレンドが継続した。すなわち26週線を基準にすると、ほぼ6カ月間の雌伏の局面を強いられたことになる。
今回の日経平均株価やTOPIXは2月21日高値であったため、6カ月後の高値期日を想定すれば8月19日となる。1カ月前からの期日向かいとすれば、7月からの押し目買いという戦略も全体相場では想定されるところだが、原発事故処理が長引けば、株価の復活も後ズレする可能性は否定できないところ。それまでは日足GCVなどの短期指標を利用して、下がったところで拾い、早めに利益を確定するというスタンスが無難か。深押しするような懸念が出てくれば早めの損切りも意識したい。
ただし、9月中間期(4-9月期)まではいわゆる"逆業績相場"となる可能性は高くなっている。仮に原発事故が終息に向かえば、それなりのリバウンドは期待できそうだが、利益回復には程遠いだろう。アジア諸国で人気のあった日本の農産物などの輸入制限をする国も増えている。製造業でも"メイド・イン・ジャパン"を避ける風潮が台頭することが懸念される。夏季に計画停電復活となれば、経済活動の足を引っ張ることになろう。もちろん、12/3期は全体で減益モードとなることはほぼ確実だ(発表できない企業も膨大だろう)。日経平均株価は9000円台をなんとか維持しているが、今期の減益をどこまで織り込んでいるか?ということが大きなポイントとなる。
現時点では主に2月期本決算が発表されているが、3月期銘柄の業績修正も少なくない。下方修正が多いもようで、発表翌日には売られる場面が少なくない。日経平均株価の平均PER(コード<0168>)は震災によるショック安以降、ほぼ14倍台での推移となっているが、これは1月末から2月上旬にかけて発表した第3四半期決算の発表時の予想数字をもとにしたものが多い。つまり、2月上旬時点での予想利益でPER14倍台ということになる。<6758>ソニーも<7203>トヨタ自動車も<7267>ホンダもまだ通期予想を変更していない。むしろ混乱が大きすぎて見通しの変更ができないということかもしれない。国際優良株もそれなりに値を崩したが、今後の減額修正や今期見通し次第で株価が一段安となる可能性は否定できないだろう。それもこれも原発事故の行方次第という点には変わりはないだろうが。
経済指標としては、15日(金)に米国で3月の鉱工業生産や消費者物価が発表され、今後の米国の金融政策に大きな影響を与えよう。景気過熱やインフレを警戒すべき数字となれば、金融引き締め見通しからドル高・円安に振れる公算もある。となれば、短期的にハイテクや自動車株が反発できるかもしれない。同じく米国では主力銘柄の第1四半期決算が連日のように発表される。米国株を大きく左右する要因となろう。
国内では、19日(火)に3月の工作機械受注が発表される。震災勃発は3月11日であったことから、震災の影響をかなり含んだ数字となるため、大いに注目されるところ。日本全体の製造業の動向を占う上でも重要な経済指標となりそうだ。
(S.F)