東北の仲間が頼んできたら「言い値で、最優先でやってやれ」 | ブー子のブログ

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損してもいい、と思ったら、やればいい。
それはやりたいことだから。

http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20110325-00005719-jbpress-column

東北の仲間が頼んできたら「言い値で、最優先でやってやれ」 (1/3)

 東北関東大震災の爪痕は大きい。

 私の友人のアパレル系製造会社の社長は、バブル崩壊後の1994年頃、企業を維持していくための新工場の進出先をいろいろ考えた。

 当時は「中国ブーム」で、こぞって中国に進出する雰囲気だったが、社長の「日本で雇用を守りたい」という思いから陸前高田に工場をつくった。同地の人々は辛抱強く、明るく、働き者で、社長も「良いところに進出した」と喜んでおられたのだが、今回、津波の餌食になってしまった。すべてが流されてしまった。

 「今は何も考えられません。でも、たくさんの友達が色々心配し励ましてくれるので、『元気を出さなければ!』と思い直しているところです」と社長は涙ぐんでおられた。

*** ものづくり企業に広がる「東北の仲間支援の輪」 ***

 知り合いの社長からメールが来た。

 <墨田の○○製作所です。弊社のある墨田でもかなり大きな揺れを感じ、今でも余震が続いておりますが、大きな被害が出ているところはない模様です。

 弊社でも棚からファイルが落ちたとか、食器が割れたというような小さな被害はありましたが、おかげさまで従業員がケガをしたとか、建物が崩れたとか、機械が壊れたとかの大きな被害はありませんでした。友達の工場でも、あまり大きな被害はなかったようです。

 私が今うれしく、誇りに思うのは、ものづくり企業の「東北の仲間支援の輪」が確実に広がっていることです。

 工具や、ホイスト、生活用品、インスタント食品や電池を届けたり、帰りの車で顧客への製品輸送を代行したり、道具類、計測器、標準機等を貸し出したり、続行不可能になった後工程を代行するとか・・・メール、ツイッターでやり取りをしながら助け合っています。(ツイッターは本当に役に立ちました)

東北の仲間が頼んできたら「言い値で、最優先でやってやれ」 (2/3)

 基本的に従来から取引のあった仲間から仲間への広がりなので、組織的ではなく、小さな支援の輪にすぎませんが、「こんな風に困っている人がいるんだが、誰か手伝ってあげられないか」とツイートすると、すぐに反応があり、仲間の誰もが心から支援したい・手伝いたい・協力したいと思っているメンバーばかりで「日本人ってやっぱりすばらしい」と実感、再認識いたしました。

 日本にとって厳しい試練ですが、日本人の冷静さ、忍耐強さは世界から賞賛されているとも言われています。この災害が、国民が一致団結して復興を図っていく契機になれば轉禍為福ということになるのですが・・・。>

 また、震災の1週間後に訪問した山陰地方の社長は、こう言っておられた。

 「最近バタバタと、東北地方の仲間からSOSが届いています。今、茨城県の企業の従業員が5人ほど泊まり込みでこちらに来て、納期の迫った製品の仕上げをやっています。また、別のある会社は『機械が飛んでしまって精度が出ないから、製品加工の続きを代わりにやってくれないか』と頼んできています。材料も道具も手に入らないとも言ってきています。私は『火事場泥棒のような真似は絶対するな。東北の仲間が何か頼んできたら、黙って言い値で、最優先でやってやれ』と部下に厳命しています」

 「でも、連絡が取れない仲間もたくさんいるんです。いくら電話してもつながらない。確かに震災直後は混雑しているから仕方がないが、今でもつながらないのは、何かあったのではないかと、本当に心配です」

*** 日本全体に影響を及ぼす産業集積地のダメージ ***

 今回被災した関東・東北の太平洋沿岸は、かなり大きな産業集積がある。

 茨城県日立市およびその周辺の重電機、弱電製品、高萩市の鍛造品、福島県いわき市の自動車、自動車用電装品、医薬品、宮城県名取市の光学機器、電子製品、仙台市の電子部品、自動車、岩手県北上市の電子等々だ。

 例えば、震災以降、牛乳が品薄になって問題になったが、東北地方が牛乳の大生産地であるのもさることながら、実は牛乳を入れる紙パックの日本の消費量の約半分を茨城県で作っていて、機械が震災でダメージを受け生産ができなかったこともあったという。

東北の仲間が頼んできたら「言い値で、最優先でやってやれ」 (3/3)

 日本では、電機も自動車もジャストインタイムでやっているから、部品の供給が止まれば直ちに最終製品の生産が止まる。巨大な部品供給基地である北関東・東北からの部品供給が止まれば、日本中で生産が止まる可能性がある。

 あるいは、高萩に大型のリング鍛造工場があり、大型の建設機械等のベアリング等を作っている。大きな被害はなかったようだが、電気が来ない、重油が足りないで苦戦しているという。

 これら東北沿岸部に立地する工場が生み出す製品がなければ完成品が作れない工場も日本には多数ある。

 だから生産の早期再開が望まれるのだが、電力供給ラインが100%は回復していない上に、福島原子力発電所の行方も気になる。メルトダウンというような事態はないにしても、福島原子力発電所が冷温静止状態にならなければ、何事も本格的には取り組めないのも確かだろう。

*** 日本への信用は失われていない ***

 仮に福島原子力発電所が安定したとして、今後、何よりも心配なのが電力だ。

 日本の電力は約3割を原子力発電で賄ってきたが、福島第一の惨状を見れば、生き残っている他の原子力発電所も少なくとも総点検をしなければならないだろうし、安定的に外部電源が確保されるまでは運転するな、とも要求されかねない。

 生産を拡大したくとも電力不足で生産が継続できない事態が想定される。

 加えてこの円高だ。日本の信用度の高さにはビックリする。経済が停滞し、地震で破滅的な被害を受け、しかも原子力発電所の事故で悪戦苦闘している国の通貨が高騰するなんて!

 G7各国が心広く協力してくれたから収まったが、従来通り杓子定規に「民間の動きに国家は介入すべきでない」として放置したら、投機筋の餌食になって大混乱しただろう。

 いずれにせよ、これだけ困難な中にある国の通貨がこれだけ信用されているという中に、日本復興の鍵があると思う。


筆者:橋本 久義