[杉村 富生先生の株式コラム 01月24日号] | ブー子のブログ

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[杉村 富生先生の株式コラム 01月24日号]


株高の基本シナリオは不変!

 株式市場はやや波乱含みの展開になっています。短期的には調整色を強めるでしょう。日経平均株価は昨年8月31日の8824円を安値に、今年1月13日には1万0589円の戻り高値をつけています。上昇率は20%です。最近の値動きを背景に、「戻り一杯ではないか」と唱える市場関係者がいます。常に、流れに乗れない人達がいるのです。

 しかし、株高の大きなトレンドを読み間違えてはいけません。確かに、ユーロ不安、中国の金融引き締めなど気掛かり材料は山積しています。ただし、ユーロ加盟国の財政リスクは単純に「アリとキリギリス」の問題ではないのです。ドイツ、フランスは“食べ物”を分け与えるしか、選択肢は残されていません。

 一方、新興国は金融引き締めの動きを強めています。インフレと景気の過熱に対応したものです。すでに、インドは6回、タイ、マレーシアは3回、韓国、台湾は2回の利上げを実施しました。中国は預金準備率を相次いで引き上げています。

 なにしろ、インドの昨年12月の卸売物価指数は前年同月比8.43%の上昇となり、前月のプラス7.48%よりさらに、上昇率が加速しました。中国の消費者物価指数は5%を超えています。完全に“危険水域”です。

 インドネシアの昨年12月の消費者物価指数は前年同月比プラス6.96%でした。まさに、インフレのアジア、デフレの日本、アメリカではありませんか。

 しかし、心配することはないでしょう。金融危機に際しての政策対応は、?財政赤字を恐れるな、?慎重さを捨てよ―が基本です。結果的に、これは次の段階として財政リスクを浮上させます。そして、インフレ懸念→金融引き締めにつながるのです。

 日本、アメリカはまだ、第1フェーズ(超金融緩和)、ヨーロッパは第2フェーズ(財政リスク→ユーロ不安)、アジアは第3フェーズ(インフレ懸念→金融引き締め)に入っています。

 アジアは完全に金融危機を克服したといえます。それに、日本企業は再三指摘しているように、“9重苦”(注)と称するハンディをものともせず、必死の経営努力によって2010年度、2011年度に史上最高決算を更新する企業が続出します。そう、経済の現状と企業の収益力は別ものなのです。

 しかも、そのハンディは今がピークであり、今後は徐々に軽減されます。そうなった場合、日本企業の強みが一段と顕在するのは間違いありません。外国人はそれを評価しています。筆者は日経平均株価が早い段階に、昨年4月5日の高値1万1339円を奪回し、リーマン・ショック直前の水準(2008年9月12日の1万2214円)に挑戦する、と主張していますが、この基本シナリオは不変です。

 双日(2768 東1 100株)の183円前後は再度仕掛けのチャンスでしょう。レアアース、水、食糧などのビジネスに注力しており、中期的に230円がらみの水準が期待できます。


(注)日本企業が20年にわたって背負ってきた“砂袋”(ハンディ)

?バブル崩壊後の金融システム不安、企業のバランスシートの劣化
?低迷する国内景気⇒過去18年間、GDPの伸び率はゼロ
?デフレ進行⇒販売価格の低下、数量の減少というダブルパンチ
?円高圧力⇒この5年間に対ドルでは30%もの円高
?企業活動を制約する数々の規制
?世界一高い法人実効税率
?株価の下落⇒資金調達を困難にするとともに、経営者の心理、消費マインドを冷やす
?自由貿易協定(FTA)交渉の遅れ
?政治の迷走


(参考資料)2011年の“株高”シナリオ

?日米欧の強烈な金融緩和(超低金利、大量の流動性の供給)はリフレ(リスク資産価格の全般的な上昇)を進行させるとともに、局地バブルを創生する→すでに、貴金属、コモディティ、債券市場の一角にはバブルの兆候

?日銀の『包括的な金融緩和』(10月5日)はインフレターゲット、時間軸の導入のほか、『日銀券ルール』の実質的な撤廃を意味しており、画期的なもの

?デフレ克服、円高阻止に向けての当局の強い決意は必ずマーケットに反映される⇒日本市場は出遅れ修正に向かう

?いつまでもあると思うな、親と円高⇒円安に対応したポートフォリオの構築を進めよ

?経済の現状と企業の収益力・株価は別ものである⇒外国人は日本企業の“実力”を評価

?数年に1度のベア・マーケット・ラリーに備えよ

?株式の死論争&PBR1倍割れは究極の弱気シグナルであり、大底圏を示唆している⇒東証1部上場企業の7割がPBR1倍割れ、2部市場のPBRは0.62倍

?グローバル企業&サプライヤー・テクノロジー企業は圧倒的な国際競争力を誇る

?法人税率の引き下げは日本経済の成長戦略に向けての第1歩になる

?日本企業の損益分岐点は劇的に改善されている⇒収益力が向上⇒グローバル路線が収穫期に

?証券税制の特例措置(売買益・配当課税を10%とする)の2年間延長が決まる⇒当局が証券市場の重要性を認識?

?日本企業が背負ってきたハンディの過酷さは現在がピークであり、今後は徐々に好転する