[杉村 富生先生の株式コラム 12月13日号] | ブー子のブログ

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[杉村 富生先生の株式コラム 12月13日号]


“8重苦”を克服した日本企業の強さを評価するとき!

 この“情報”はけっしてネガティブ(弱気)なものではありません。再三指摘しているように、日本企業は過酷なハンディを背負わされています。すなわち、低迷する国内景気(過去18年間、GDPの伸び率はゼロ→この間、中国のGDPは11倍、インドは8倍に)、デフレの進行、円高圧力、数々の規制、高い法人税率、株価の下落(資金調達を困難にするとともに、経営者マインドを冷やす)、自由貿易協定(FTA)交渉の遅れ、政治の迷走―などです。

 筆者はこれを“8重苦”と称しています。これでは常識的には、海外企業と互角に闘えません。国土が狭く資源・エネルギーに乏しいドイツ、韓国、台湾、シンガポール(日本と酷似)などは、官民挙げて輸出産業を育成し、企業を支援しています。韓国は半導体原料(シリコンウェハなど)の「バイ・コリア作戦」を展開している、といわれています。

 主要国の輸出比率(輸出金額÷名目GDP)をみると、韓国54.8%、ドイツ47.5%、EU(27カ国)40.2%、中国36.6%、イギリス28.1%、フランス26.6%などとなっています。これに対し、日本は17.4%です。突出して低いですね。国情が似ているドイツ、韓国と比較すると、その差は歴然です。なぜッ? そんな疑問が生じるのは当然でしょう。

 日本の法人実効税率は40.7%です。これが韓国は24.4%、世界平均は25.9%となっています。2006~2008年度の平均法人課税負担率は、サムスン電子では15.7%ですが、シャープ(6753 東1 1000株)では35.8%、キヤノン(7751 東1 100株)では38.0%となっています。

 政治家の中には「日本の法人税は高くない」と広言する人がいます。それも与党の大物です。認識不足がはなはだしいですね。なぜ、主力企業が海外脱出を図らざるを得ないのか、この点をしっかり考えて欲しいものです。

ちなみに、軽減税率、税額控除などの影響を考慮した法人課税負担実績をみると、日本は39.2%、アメリカは31.5%、イギリスは30.1%、ドイツは29.0%、韓国は23.8%、台湾は13.1%、シンガポールは13.0%などとなっています。日本は突出して高いではありませんか。

 FTAについては韓国がEU、アメリカと相次いで交渉を合意にこぎつけ、契約発効させている反面、日本は交渉のテーブルにすらついていません。TPP(環太平洋戦略的経済パートナーシップ協定)はその交渉に参加する、しないの段階でもめています。まったく情けない話です。

 まあ、日本は「失われた20年」がさらに、“延長戦”(筆者の見方は違う)に突入しそうな気配です。しかし、前置きが長くなりましたが、肝要なのはここからです。筆者が繰り返し、繰り返し、述べているように、経済の現状と企業の収益力(成長性&株価を含む)は別ものです。企業は国を頼らず、自ら生きる姿勢(方針)を鮮明に打ち出しています。

 現実に、ユニ・チャーム(8113 東1 100株)、ファナック(6954 東1 100株)、日本電産(6594 大証 100株)、ナブテスコ(6268 東1 100株)、リンテック(7966 東1 100株)、伊藤忠商事(8001 東1 100株)などの業績は絶好調です。2012年3月期は軒並み史上最高決算を更新するでしょう。

 これだけではありません。いすゞ自動車(7202 東1 1000株)、コマツ(6301 東1 100株)、タカタ(7312 東1 100株)、リンナイ(5947 東1 100株)、神戸製鋼所(5406 東1 1000株)、愛知機械工業(7263 東1 1000株)、ティラド(7236 東1 1000株)などの業績も好調です。

 これらの企業は激増するアジア需要を海外戦略により取り込んでいるほか、必死のリストラによって、損益分岐点を大きく低下させています。要するに、“8重苦”を克服した企業なのです。

 いや、筆者がみなさんに訴えたいのはこれだけではありません。“8重苦”はいまがピークであり、日韓の年間労働時間の差(日本1775時間、韓国2364時間)、ウォン安・円高、バカ高い法人税率、自由貿易協定(逆に、現地工場の強みが発揮される)など改善の方向が確実になっています。筆者のいわんとすることがご理解いただけるでしょうか。