街灯の下にたたずむ菅首相?
菅(直人首相)政権は「1に雇用、2に雇用、3に雇用」と叫び、「新卒者が就職できなかった場合、3年間は“新卒扱い”とする」などの施策を打ち出しています。この局面での雇用最優先の方針は正しいと思います。
これは間違っていません。しかし、何かがおかしいですね。この政策は微妙にマトがはずれています。これを経済学的には「街灯のカギ」と称するのです。
すなわち、「街灯のカギ」とは論点がずれているというか、マトがはずれた議論、行動のことです。みなさんの身近にも調子っぱずれの論争(主張)を“得意”とする人がいるでしょう。これでは話はかみ合いません。
ある日の夕方(秋の日はつるべ落とし)、駅の改札を出て自宅に向かって歩いていると、電柱の下で何かを一生懸命に探している人がいます。
「どうしました?」と問うと、彼女は泣きそうな顔で「いや~、家のカギをなくしてしまって、帰れないのです」と。
「それは困りましたねぇ」。そこで一緒に探すことにしました。しかし、街灯に照らされたその一角は明るく、歩道の上にカギはどこにも落ちていません。
「あなた、本当にここでカギを落としたのですか」。エッと驚いた彼女は「いや、ここではありません」と。「ここで落としたのでなければどこでカギをなくしたのですか」。詰問すると、彼女は「カギを落としたのはずっと向こうですが、そこは街灯がなく真っ暗、だって、だって、明るいのはここだけなんです」と、うるんだ目で私を見上げた。
日本の法人実効税率は40.7%と世界最高水準です。これが韓国は24.4%、中国は25.0%、ドイツは29.8%、世界平均は25.9%となっています。
ちなみに、韓国のサムスン電子の過去3年の法人課税負担率は15.7%です。そこに、ウォン安・円高です。これでは日本企業が勝てるはずがありません。
さらに、韓国はEU(欧州連合)とFTA(自由貿易協定)を締結するなど、経済関係強化を着々と進めています。5年後には韓国の対ユーロ向け輸出関税はゼロになります。恐らく、自動車、家電、電子部品などは日本勢が競争力を完全に喪失するでしょう。
競争力を維持するにはEU地域に工場を建設、「メイド・イン・EU」にすることです。すでに、自動車の場合、海外生産が加速しています。日産自動車(7201 東1 100株)は主力車種の「マーチ」をタイで生産していますが、三菱自動車(7211 東1 1000株)は「コルト」、トヨタ自動車(7203 東1 100株)は「カローラ」の海外生産→逆輸入を計画しています。
ホンダ(7267 東1 100株)、スズキ(7269 東1 100株)は国内工場の建設計画を事実上、凍結し中国、インドの工場増設の方針を明らかにしています。いずれ、ヤマハ発動機(7272 東1 100株)は二輪車工場をインドネシア、ベトナムに建設するでしょう。そうしないと、競争に勝てません。
こうした動きは国内の購買力と雇用を奪うのです。工場が閉鎖されれば働く人は困ります。いや、それだけではありません。新規の採用もなくなるのです。そう、雇用、雇用と叫ぶ前にやることがあるのでは・・・・。
まあ、いまさら悔やんでもしかたがありませんが、菅政権は街灯の下にたたずみ、挑戦をしようとはしません。無力です。しかし、救いなのは日銀がRPKO(リスク・プレミアム・キーリング・オペレーション)に踏み込んできたことです。これは評価できます。
非鉄、商社、金融、不動産セクターが超金融緩和を背景に人気を集めるでしょう。具体的には住友金属鉱山(5713 東1 1000株)、三井物産(8031 東1 100株)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306 東1 100株)、三井不動産(8801 東1 1000株)などに注目しています。