為替介入 | ブー子のブログ

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損したらどうしよう、と思ったら、やめればいい。
それはやりたくないことだから。

損してもいい、と思ったら、やればいい。
それはやりたいことだから。

正確には外国為替平衡操作と言う。中央銀行や財務省等の通貨当局が、外国為替相場に影響を与えることを目的に、外国為替市場で通貨間の売買を行うこと。日本では、円相場の安定を実現するために財務大臣の権限において実施され、日銀が財務大臣の代理人として、財務大臣の指示に基づいて為替介入の実務を遂行する。


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1ドル85円台突入!
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 [ニューヨーク 30日 ロイター] 30日のニューヨーク外国為替市場
では、ドルが対円で2009年11月以来の安値をつけた。この日発表された
米国の第2・四半期の国内総生産(GDP)の伸びが鈍化したことで、米金利
が2011年に入っても低水準にとどまるとの観測が強まりドルが売られた。
 第2・四半期の国内総生産(GDP)速報値は、年率換算で前期比2.4%
増と、上方改定された第1・四半期の3.7%増から減速した。
 アナリストは、米国でこのところぜい弱な経済指標の発表が相次いでいるこ
とで、ドルが幅広い通貨に対し圧迫されていると指摘。この日の米GDP統計
を受け、リスク選好度が低下し、円やスイスフランなどの通貨が買われやすく
なる可能性があるとしている。 
 7月はドルは円に対して2.2%下落し、3カ月連続での下落となった。一
方、7カ月連続で対ドルで下落していたユーロは、7月は6.7%上昇。20
09年5月以来、月間の上昇率としては最大となった。
 ロイターのデータによると、ニューヨーク市場終盤の取引で、ドル/円は0.
4%安の86.38円。米GDP統計を受け、一時は8カ月ぶり安値となる8
5.95円まで下落した。
 トレーダーは、これまでの安値だった86.25円でストップロスの売りが
出たと指摘。「米経済の先行き懸念加え、米連邦準備理事会(FRB)の追加
緩和に対する懸念が存在するため、ドル/円取引を動かす大きな要因である米
国債利回りが抑制される」と述べた。
 この日市場で材料視されたのは、野田佳彦財務相らの発言。野田財務相は3
0日、一部記者団に対し、外国為替市場で円高が進行していることについて
「マーケットを注視している」と述べた。


まあ、例によって記事内のコメントの内容が酷過ぎて、何ともいえないのです
がアメリカ経済がかなりひどい状況になっていることはこちらの読者には口を
酸っぱくして言ってきましたので十分ご理解頂いていると思います。

更に金利差(国債の利回り格差)、経済成長率見通しなど経済学者が指摘する
ような数字は競馬に例えますと 血統、馬体重程度のデータでしかありません。
何となくそれが当たるような時もありますが、実際のレース(市場)はそれだ
けで決まるほど単純なものではないのです。人間(馬)のことですから様々な
要因で売ったり買ったりしますので、必ずそれで当たるということはありませ
ん。まあ、考えればあたりまえのこと。

ただ、競馬で言いますと、全体の力関係、というものは何回かレースをやって
いるとわかることがあります。
例えばある馬はある馬に対して5回もレースをやっても5回とも勝ってい
る・・・というような場合。

とすると6回目に再びその2頭が出てきたらどうするか・・・恐らくこの場合
は100人が100人とも5回勝った馬を買うのではないでしょうか。

ルーレットなどではこれと逆になり、すべての数が等しくでると考えるので5
回赤が来たら逆に次は黒、と考えますよね。

為替などの最高の市場分析理論はラスベガス理論と言われるくらいですから、
むしろそういう目で為替市場を見る考えもあろうかと存じます。

為替市場はどちらかというと競馬型。プラザ合意以来30年以上やってきて、
既に何レースも経験しています。

そして今この経済混乱期、過去何回も経験し復活して上手くやってきた通貨が
一つだけある訳です。そう、それが円です。

ここですこしおさらいにお付き合い下さい。何でも良いのでお手元の年表を見
てみてください。(アエラビジネス 別冊の年表がお役に立つと思います)

プラザ合意以降79円75銭の史上最高値(1997年4月19日)をつける
のにわずか10年。その間にベルリンの壁崩壊あり、ソ連崩壊あり、世界が混
とんとするなか、円は最高値を達成します。

しかし、バブル崩壊、山一倒産などの日本の金融危機により円は危機を迎え結
局140円台まで後退します。1998年8月11日には147円64銭まで
行きました。

そしてバブル崩壊から立ち直るために日銀は決死の金利ゼロ・・・つまり通貨
を持っていても価値がない・・という極限の状況を作り出します。通常であれ
ばとんでもない円安になるのですが、好調な工業生産を背景に再び値を持ち直
し、2000年には早くも120円台を回復します。

そこに例の同時多発テロが起きます。一気に130円台を超える円安になるの
ですが、2003年りそな銀行を救済することで金融機関は一行たりともつぶ
さない、という日本の強い意志を感じた世界の投資家は再び円を選好します。
一気に100円台まで駆け上った円はその後も上昇を続ける事になるのですが、
たび重なる不可思議な円売り介入で一時120円まで後退します(これについ
ては後程詳細に)。しかし円そのものの自立反発力には勝てず、2004年3
月の円売り介入が最後となってしまいます。市場には勝てない、と財務省が観
念したようでもありますが、結局この時点で完全な円高傾向に入ります。

2007年よりご存じのサブプライム問題がくすぶり始め、2008年リーマ
ンショック、世界同時株安と来てドバイショックの日、2009年11月27
日 直近の高値である1ドル84円81銭を付ける事になります。そして今ま
さにそのレベルにいることになります。


ざっと見てきましたが如何ですか?

欧州も躓き始めた今、これだけの世界危機を「何レース」も潜り抜けてきた円
と言う通貨の底力にかけてみたい・・・と投資家が思ったとしても全く不思議
ではありません。消去法で円なら何とかなると思ったのかもしれませんね。正
に「非常時の円」と言えるかもしれません。

何度も申し上げているように通貨とはその国の産み出す価値及び産み出すであ
ろう価値の総体と呼ぶ事ができるのです。未だに世界が欲しがる価値を産み出
し続ける日本に通貨に相当の価値があることは間違いありませんね。

そういう目で見て頂くと現在の円高傾向は納得頂けるのではないでしょうか。
なるべくしてなった、と言えるのかもしれません。

介入について

そして必ず介入(円売り)はないのですか、というご質問を受けます。
しかしこれはとにかく財務省の決断次第ですから予想になりません。

但しご理解されていた方がいい事がいくつかあります。

まず、世界の先進国(G7と考えてください)で自国通貨の価値が上がって(つ
まり円高になって)不快感を示し、大量に自国通貨売りをしている国は後にも
先にも日本だけです。

自国通貨の価値を下げるようなばかばかしいことをやっているのは日本だけで
あって、世界中の経済学者からみてもその論理破綻(なぜ自国通貨を安くする
ことに経済合理性があるのかについて説明できない)は明らかなのです。

それもあって恐らく2004年を最後に円売り介入をしていないのではないか
(さすがに世界に向かっていい訳ができなくなってきた)と私は見ています。

また、輸出産業の保護、とかいう同じく既に論理破綻しているばかげた議論を
未だにテレビ、新聞などでよく見ますね。

しかし日本の輸出依存度は最大の年でも15%を超えた事がありません。ドイ
ツなどが40%近くあり、イギリスよりも小さい日本の輸出依存度に対し、何
をもって円安がプラスだといえるのですかね? 国全体でみればGDPのたった
15%(それでも最大)に寄与するだけです。

しかも、よく考えてみてください。車一台、どれだけの資材を輸入して作って
いるのか。鉄鉱石は日本で採れて、車を生産する為の電気のもとになる石油も
日本でとれているのか。恐らく車一台のあらゆる物質を分析してみると90%
近くは輸入したものの筈です。百歩譲って50%だとしてみましょうか??
であれば円高による輸入品の価格下落分の利益と円高による輸出価格の下落に
よる損失でプラスマイナスゼロではないですか。子供でも分かる算数です。

もし車一台の資材のうち80%が日本国内の資源から作られているならば自動
車会社の言う通りで、円高は打撃ですね。しかし、資源のない日本ではそうい
うことにはなり得ず、ほぼ80%以上のものが海外から調達されている日本で
は円高によって割安にものが買えるメリットの方がはるかに大きいはずです。

ただ、今までは輸出の部分で自動車会社などが独占してきた利益がその他の輸
入業者などに散らばるだけのことで、日本経済全体にとってはメリットしかな
い。

残念ながら自動車会社など、そういう大手輸出業者が広告宣伝の大多数を担っ
ている日本ではこういう声は新聞には出てきません。新聞が正しい事を書く訳
ではなく、スポンサーの意向を守って記事を書くという事実をお忘れなく。常
にご自分の理屈で考えてゆめゆめ騙されないようにしてくださいね。

さて、介入です。

ということでさすがの財務省も今更円売り介入に出にくい環境にあるだろうこ
とをご説明しました。

しかし、実は「弾丸」は未だにもっていて、何のためにこれを維持しているの
か、実際のところ不明です。これは戦争放棄と言いながら軍隊をなぜ持ってい
るのか、という話とよく似ています。戦争放棄なら軍隊などなくてもいいので
すが、なぜ、持っているか?と言えばいざという時に使う意思があるから、と
しか言いようがありませんよね。

実は財務省も為替介入に関しては同じような状況にあり、財務省が管理する為
替介入の為の資金(外国為替資金特別会計)にはGDPの20%にも及ぶ大規模
な資金が2004年介入を停止したあとも、今回の仕分けにもあわず、なぜか
ずーっと積みっぱなしになっているのです。

ちょっと考えればお分かりのようにこれは現金で積んである訳ではなく大部分
はアメリカ国債を買って持っています。為替変動リスクを避けるために大部分
を短期債で持っているので、通常その国債の償還が来れば徐々に減って行く
筈・・・・ですよね。
所がこれが減らない・・・・つまり満期が来た国債を何らかの理由で更に再投
資している・・・としか理解できませんね。

これが財務省の意図、ということだけで、真意は我々にもよくわからない事な
のです。
善し悪しは別ですよ。しかし、持たなくてもいい軍隊を持つ訳がない・・・と
いう考え方からするとどっかで使うつもりがある・・・と考えるのも必要かも
しれませんね。

ただし、単独で円売り介入をするには先の事情からかなりハードルは高いでし
ょう。アジア通貨危機などに際してその外為特会を使用してアジア通貨を買う
など、そういう使い方になるのではないか、と個人的には思いますが、なぜ、
まだ持っているのかについては一度国会などできちんと聞いた方がいいと思い
ますよ、菅首相(笑)・・・ということです。

実際の介入効果について

実際の介入の動き・やり方についても新聞、テレビともいい加減なことばかり
書くのでいざという時の為に今のうちに整理しておきます。

まず、先ほど書きましたように介入するのは財務省です。日銀ではありません。
まずこの段階で間違っている報道が多数。介入を決めるのは財務省です。

次に介入を決意すると財務省は外国為替資金証券(為券)という短期国債を発
行してその介入資金を用意します。20兆円と言えば20兆円分の為券を発行
します。現状ですと、これを発行しても恐らく20兆円程度では何らの影響も
債券市場に与える事にはならない筈で、何の問題もなく瞬間蒸発で売却可能で
しょう。なぜなら所謂量的緩和の実行で市場には資金があり余っているからで
す。

しかし、もしそれほど資金が余っていない時、例えば金融危機の時にこれをや
ると恐らくその発行量の分だけ金利が上がる=引き締める、という結果になる
可能性が高いので、その場合は金利効果をならすために、恐らくは日銀がその
分国債を買い上げて資金供給をするというオペレーションを実行することにな
ります。

その場合国債を買う事で現金が市場に出ますので、間接的に緩和効果を生む事
があるので、しばしば「金融緩和の切り札」と言われることもあるのです。た
だし、今のような「超緩和状態」ではそうはならない、ということも覚えてお
いてください。まあ、ここまできちんと説明してくれる新聞(テレビは到底無
理ですね、みんなわかっていないので)はございませんので、ご参考までに書
いておきます。

介入に関して必要な知識は以上です。


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韓国経済について(補足)
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 [シンガポール 27日 ロイター] 27日のアジア通貨市場では、韓国
ウォンが5週間ぶり高値に上昇し、アジア通貨の上昇をけん引している。米国
の力強い住宅関連データがアジア通貨を押し上げているが、一部の中央銀行は
市場介入を実施している。


この一部中央銀行に韓国中央銀行が入っているという憶測記事が複数出て、韓
国がウォン売り介入をやっているのでぐっちーの言っている韓国経済は怪しい、
ウォン暴落、という話と整合性がない、などとご質問を受けました。

ですから、そういう観測記事が出てきた時に韓国経済はそんなに盤石じゃあり
ませんよ、と考えて頂くためにああいう記事を書いている訳でして、どちらが
正しいかはそのうちわかる事になると思いますが、利上げそのものも韓国経済
の景気過熱を恐れて、なんて的はずれな記事を書く新聞ばかりなので、実態と
ともにご注意申し上げた訳です。

従ってそのための記事ですから、どっちがほんとうなんですか、と聞かれれば
それはあなたが判断してくださいね、というのが結論になります(笑)。

それにこれはロイターの記事ですが、アメリカの力強い住宅関連のデータとは
何なんでしょうかね。常識そのものを疑うような内容としか言いようがありま
せん。

サブプライムの時も、リーマンの時も、欧州危機の時もこちらのブログ、メル
マガと一般新聞報道とは180度見方が違ったのはこれまで証明している通り
でして、それこそ、ご料金を頂いている理由だと考えております。

そりゃ、私が間違える事もありますよ。ただ、新聞の間違いに比べればはるか
に少ないし見通しも当たっているという自負はあります(笑)。くどいようで
すが韓国については1ドル1300ウォンを超えてきたら危機水準。1500
を超したらアウト、という事に尽きまして、あとは市場を良く見ていてくださ
いね、ということで、ぜひリテラシーを身につけてください。

なお、一つだけ。
一部中央銀行と書かれているこの記事の出所でおわかりのようにこういう場合
は大体シンガポール通貨庁のことを指す事が多いのです。

彼らは通貨バスケットの中身を公表してはいないのですが、恐らく、というか
確実に円はもちろんウォン、タイバーツなどの「衛星通貨」も中身にいれてお
ります。その意味で他の中央銀行に所謂依頼介入をする事があり得るのです。
急騰したシンガポールドルの水準を下げるためにタイ中銀などがタイバーツ売
りの依頼介入を受ける事があり、韓国も同じことで、仮に介入があったとして
も一体何の為のものなのか、しっかり見極めなければなりません。こういう事
はアジア通貨マーケットでは普通のことなので、みなさまもそういうことも覚
えておかれて損はないと思います。

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既に存在感のないヘッジファンド
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そして最後に。
最近引用が多すぎるとお叱りを受ける事がありつつも、ほぼ引用だけになって
しまいますがヘッジファンドの現状をお伝えしておきます。
この記事を読んで頂ければ新聞などで「ヘッジファンドなどが・・・」などと
いういい加減な記事が出たら100%嘘だと言う事がわかりますでしょう。3
000以上のヘッジファンドが既に消滅してしまい(ほぼ8割ですね)しかも
生き残っておられる方々はこういう運用をされていて少なくとも日本株式に対
する影響力は皆無です。

是非知識として覚えておいてください。

未曾有の荒波乗り切った勝ち組ヘッジファンド、先進国経済には悲観的
 
7月30日(ブルームバーグ):ウォーターストーン・キャピタル・マネジメン
トの創業者、ショーン・バーガーソン氏は、大半のヘッジファンドが損失を被
った時期に利益を出した。2007年と08年、住宅市場の崩壊をきっかけに世界的
な金融混乱が起こった年と、その後の回復期だ。
  同氏は07年6月、半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AM
D)の転換社債の下落を予想。1年余りが経過した後にはその予想を180度転
換し、同社債を買い入れた。09年の相場回復に乗じた後、現在は消費者関連株
の下落を見込んでいる。米国民が高失業のなかで支出を抑え、債務を減らして
いるとみているためだ。
  11億7000万ドル(約1000億円)の資産運用を監督するバーガーソン氏はミ
ネソタ州プリマスのオフィスから電話インタビューに応じ、「私自身は深刻な
経済危機や崩壊が起こるとは考えていないが、消費者は弱い立場にある」と述
べた。
  バーガーソン氏は、アラン・ハワード氏やコーム・オシェー氏と同様、ヘ
ッジファンドマネジャーの中では07年以降損失を出していないごく少数派の1
人だ。彼らは、信用市場の凍結やリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの
破たん、6年ぶりとなる株式相場の大幅高、今年特に強く見られる世界経済の
方向性をめぐる不透明感といったなかをうまく乗り切った。
  これは、スティーブン・コーエン氏やルイス・ベーコン氏、ケン・グリフ
ィン氏といった長期リターンでトップの成績を誇る投資家も成し遂げられなか
った快挙だ。この3氏はそれぞれ、08年にこれまでのキャリアの中で最悪の損
失を計上した。また07年初め以降、3300近くに上るヘッジファンドが閉鎖に追
い込まれている。 インタビューや投資家あての書簡によれば、金融危機をう
まく回避したファンドマネジャーらは、欧米の景気が減速するとみている。


最後の部分について・・・・読んで頂いてお分かりの通り、かれらは個別のCB
など、かなりプロテクションの高い商品をかっているにもかかわらずすごいリ
ターンをあげています。そういうものですらたたき売りされているアメリカの
流動性喪失の現状がお分かり頂けるのではないでしょうか。

その意味では個別に企業を判断している人々の運用成績の上位に来ると言う事
が象徴的で、所謂先進国経済が国全体で景気回復するというシナリオは極めて
書きにくい、という点が大事だと思います。