[北浜 流一郎先生の株式コラム 07月08日号]
個人投資家の一部、買い越しに転換。
彼らに歩調を合わせよう。
一喜一憂ということばがあります。嬉しいことと憂鬱なことが頻繁に起きるという意味ですが、最近の相場は、一喜一憂ではすみません。一喜十憂、いや、一喜三十憂ぐらいです。それほど喜べるようなことが少なくなっていて、日経平均株価も7月に入って年初来安値をつける始末です。
2010年が半年も過ぎたところで新安値では投資意欲が盛り上がらない。実際日々の出来高も少ないままです。6月以降、東証1部の出来高が20億株を越えたのはわずか3日だけ。他は14億株台に落ちた日さえあるほど寂しい日々が続いています。
こんなデータを紹介すると、やはり株はダメなんだなあ。投資しない方が良さそうだ。こうなるでしょう。
しかし、それは早とちりというものです。上述のデータは、市場全体についてのこと。意外な現象についてはまだ触れていないからです。
実は、いま個人投資家の一部は買い越しに転じているのです。全体は売買が縮小しているのに、個人投資家の現物取引は5月から6月にかけて買い越しに転じています。
5月 4832億円
6月 304億円
6月は縮小していますが、同時期の信託銀行のデータも紹介しておきましょう。
5月 2550億円
6月 1852億円
信託銀行が主に扱っているのは投資信託の売買です。個人の買いがそれを上回っているのですから相当なものです。それだけ大量に個人投資家が買っていることになります。
一般的に考えると、そんなバカな、みんな株なんかもう見たくないと言っているはずだ、ということになるでしょう。しかしデータはそんな見方が間違いであることを示しています。個人投資家は買っているのです。
実は個人投資家の現物買いが買い越しに転じることは滅多にありません。大抵は売り越しなのです。
それが買い越しに転じているのは重要です。通常の感覚では絶不調の中で買い越しに転じているのは、投資経験豊富で投資馴れした投資家と見てよいからです。
ここではそれに便乗する。これが私もお勧めです。
で、注目したいのは、まずは帝国ピストンリング(6463 東1 100株)です。自動車エンジンの重要部品であるピストンリング大手、特にシリンダーライナーでは世界首位です。
ところがこのところ株価は下げています。トヨタとの関係が緊密なため、トヨタに新たなリコール問題が発生したことによるものと考えられ、回復は早いと見てよいでしょう。この下落場面でシフトしておきたいものです。
多くの銘柄が急速に戻りつつある中で、やや遅れているのがTHK(6481 東1 100株)です。直動システムに強く、世界シェア6割を制する首位企業ですが、地味な銘柄なため株価は下値でもたついています。
このような動きは下値固め。ここからは浮上に転じる確率が高いと見てよく、スロー投資に向きます。
最後にややリスクが高くなっている銘柄を。日本電産(6594 大1 100株)です。今回の下落ではこの株も大きく売り込まれてしまいました。信用の追い証がかかった人たちが投げ売りさせられたと考えられます。
しかしいまは急速に戻りつつあります。戻りのピッチが早過ぎるため、続伸局面での買いはリスクが高くなりますが、ここから少し下げたところは買い有利です。