「大臣とは役所の代表ではなく、国民が役所に送り込んだ国民の代表だ。財務省が国民のために働く役所となるために就任した」
7日、財務省内での初の記者会見で、菅氏はいきなり財務官僚への「宣戦布告」の言葉を投げつけた。
伏線は6日夜にあった。菅氏が首相から次期財務相を言い渡された直後、財務省幹部はさっそく菅氏に面会を要請。しかし、菅氏は「まだ財務相に就任していない」として拒否した。7日朝も記者団に「お役人に取り込まれる感覚は全くない」と言い切った。
官僚ににらみを利かせる言動は、「次」への意欲の表れ-と周囲はみている。今回、就任した財務相に加え、経済財政担当も兼務することになった菅氏だが、自身が最もこだわる肩書が、閣内全体を統括できる「副総理」ポストだ。
「この部屋は副総理の部屋だよな。国家戦略担当相の部屋じゃないよな」
こう言って、菅氏は6日夜に首相官邸で周辺に聞こえるように「居場所」を確認。官邸内に居座るための部屋の確保に執着をみせた。7日の会見でも「副総理として内閣全体のことについても首相を支える立場で十分に目配りをしていかなければならない」とわざわざ言及した。
ただ、表向きの菅氏は、「ポスト鳩山」への意欲を出さない。側近は、平成18年4月の小沢一郎代表(現幹事長)就任とともに党代表代行に就任してから、「菅氏は変わった」と説明する。小沢氏や当時幹事長だった鳩山首相を支える下働きで「目立つだけがリーダーではないことを覚えた」(側近)という。
しかし、もともと自尊心が強く、15年秋には、政敵とも言えた小沢氏率いる自由党との「民由合併」を党代表として主導したように、目的のためには手段を選ばないリアリストの側面も持つ。周囲には「鳩山政権を4年間支える」と語るが、ポスト鳩山への意欲があるのは間違いない。問題は圧倒的な存在感を示す小沢氏との距離感だ。小沢氏と反目すれば首相の座は遠のき、意向を尊重しすぎれば、「小沢支配」のコマで終わる。
財務官僚の面会を拒んだ菅氏は6日夜、小沢氏には電話で就任内定のあいさつを試みた。連絡はとれなかったが、2人は近く囲碁を打つという。菅氏は小沢氏との関係の重要性を十分意識しているようだ。(酒井充)


