「そんなふうに見ていては、水平線は存在しない。視線が水平線を作るんだ。まばたきするたびに崩れる一本の糸。」
この書き出しで始まる今日は44ヶ国目
メキシコ
空気の名前
メキシコ出身の男性作家がスペイン語で書いた小説の舞台に選んだのは、北アフリカ。幻想の街モガドールに、突然言葉を話さなくなった少女、ファトマがいた。ある者は恋煩いだといい、ある者は魔術にかかっているといい、また別の者は死者に取り憑かれているのだと噂した。
周囲の全てを吸収しながら、無言で成長していく少女は、ついに自分が求めていたはずのものに出会う。
ハンマーム、公衆浴場で。
外すことができない視線、一瞬の接触。
禍々しいまでに美しい女性二人の絡み合い。
それから、ファトマは、その女性を探して方々を歩き回る。その姿を見初めた男がいた。その男が一夜を共にしたのが、ファトマが探し続ける女性だ。
三人の、決して交差することのない、終わりのない物語は歌のように紡がれていく。
7ヶ国語に翻訳された、きれいな、きれいな小説。
「あなたはもう私の夢の中で私の夢を見るという夢を見てはいけない。」
