アジャン・ブラム「マインドフルな毎日へと導く108つの小話」
第2話 寺の庭園
マインドフルな毎日へと導く108つの小話
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寺の庭園を管理している若い僧と、それを見に来た老僧の話である。
---あらすじ---
その庭園は美しいと評判だった。
庭園に朝早く着いた老僧は、若い僧が早朝から庭の枯れ葉や枝を集めて、
それを配置し直す作業を見ていた。
作業が終わると老僧は若い僧の前に現れて、「ほとんど完璧だ」と言った。
若い僧は「完璧をご教授ください」と願った。
老僧は目の前の枯れ木を葉が落ちてこなくなるまで揺すり続けた。
落ち葉だらけになった庭を見ながら老僧は「これで完璧だ」と言った。
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これも似たような話を思い出す。
若い彫刻家はいかに自分が技巧を凝らしたかを説明し、
老彫刻家は木が彫ってくれという通りに彫っているだけだと言う。
若い彫刻家が技巧を誇るのはそんなに悪いことではない。
その若い彫刻家が本当に素晴らしければ、
いずれは老彫刻家の境地に至るのであり、
技巧を究めることはその糧である。
そう考えるとこの話は、若い彫刻家と老彫刻家の間を繋ぐものであるようにも思える。
若い僧は素直に教えを乞う。
作為はどんなに極まっても自然そのものにはならないが、
自然はそのままで常に完璧である。
マインドフルな心は、
作為の限界を認め、
自然の前に素直に頭を垂れるのではなかろうか。