この項のタイトルは「どうして傲慢になれましょうか」と「生かしていただいている」である。
篠田さんのご兄弟は若くして亡くなられている。
逆らえない運命というものを感じたと言う。
篠田さん自身も終戦の翌年に肺結核になる。
絶望したが、その時に女医さんが「治りますよ」と言った。
ドクターは医学的見地から事実を述べたのだろうが、
この時の「治りますよ」という言葉はまさに、
時宜に適っていて、
篠田さんに希望を与えたと言う。
同じ言葉であっても、
そこから感じられる自分自身にとって意味合いというのは、
状況と文脈によって随分と違うものである。
その時に必要な言葉、
これにうまく出会うというのにも、
何か運命を感じる。
傲慢に生きていては出会えないのかもしれない。