La La Land
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「LA LA LAND」
監督 デイミアン・チャゼル
主演 ライアン・ゴズリング / エマ・ストーン
この映画は、公開当時に友人が激オススメしていた作品。
レンタル解禁になったので早速、借りた。
ロサンゼルスで女優を目指すミアと、売れないジャズ・ピアニストのセバスチャンが、
お互いに惹かれあいながらも、自分の夢を追いかける物語である。
タイトルの LA LA LAND には「ロサンゼルス」という意味のほかに、
「現実離れした世界」という意味もあるようだ。
この作品はミュージカル映画なのであるが、うっかりいつもの感じで見始めたら、
冒頭から渋滞している高速道路でみんなが踊りだしたのに驚いた。
グリフィス天文台でいきなり星空をバックに踊れてしまえるのも、ミュージカルならありだよなぁ。
テーマは夢を追い続けるか、夢を諦めて現実的に生きるかという点に絞られている。
---以下、ネタばれあり---
(鑑賞後にお読みいただくことを推奨します。)
成功のきっかけとなるオーディションでエマは歌う。
厄介な私たち、夢追い人に乾杯を!
とエマは女優を目指した思いを爆発させて歌う。
実際にはここに夢追い人の真実があると思う。
大抵は成功しないのだから。
この作品では、どちらも夢を実現するという稀なケースを描いている。
5年後のエピローグで、ミアは女優となり、セバスチャンは昔風スタイルの
ジャズクラブのオーナーになっている。
その点ではストーリー展開は一般的なケースではないのであるが、
かわりに成功の代償が描かれる。
エピローグで、もしもあの時に別の展開になっていたらというケースを見せる手法が上手すぎる。
こんな風に成功して、子どもができて、幸せな家庭生活があってなんてことはないよなぁ……
と思いつつ、展開される理想的な幻想ストーリーは心地よい。
ミュージカルは自由だ。
現実に帰るのを引き延ばしたくなる。
幻想ストーリーはいつか終わるとわかっていても、いつ終わるのかとドキドキする。
この映画がミュージカルなのはこれをやりたかったからではないかとすら思える。
最後の、夢を追い続けた者同士のうなずきにカタルシスはあったが、
切なく胸が痛んだ。
この痛みこそは犠牲を払った者の「心の痛み」だ。
そして、成功者の裏に大勢の報われなかった人々がいる。
幻想ストーリーだから最後まで理想的なケースが描かれるわけであるが、
最初のクリスマスでうまくいったからといって、
そのためにどちらも成功しないという結末もあった筈である。
大きな犠牲を払っても、夢には追う価値がある。
成功は結果であって、その目的は夢を生きる過程にある。
大抵は成功すらしないが、夢を追う意味は夢に生きる過程にある。
こういうメッセージを受け取ったと思う。
夢を追うということにえらくポジティブなメッセージなわけであるが、
特に違和感がなかったところに、
自分もそれなりの夢追い人なのではないかと感じた。