女学校の先生の一人に、
北村透谷の奥さんであった北村ミナさんがいたそうである。
篠田さんは、許嫁との婚約を破棄して貧しい詩人の透谷と結婚したミナさんに、
明治・大正時代の人の新しい精神に憧れた生き方を見ている。
この項の最後は、
「世間からどう思われようが、覚悟をもって生きた勇気。」(p106)
となっている。
時代は更に新しくなったと思う。
昭和・平成時代の人の新しい精神に憧れた生き方として、
何を見ればよいのだろうか。
ここに、物質的な豊かさに幻滅し心の豊かさを求める精神を見てもよいように思う。
この精神を生きるのには、一層の覚悟を持たねばならなぬと感じられるのだから。