人類の起源 | ブックスタマ社長の自腹読書日記

人類の起源

「人間は何者なのか」

 

この問いへの答えが、古代の人類の骨のゲノム研究で

 

明らかになる時代になりました。それを可能にしたのが、

 

今やだれもが知っている、PCR法です。コロナウイルスを

 

検知することに使われている技術が、人骨に残された

 

微量の遺伝子を増幅し、その人骨の祖先がどこから来たのか

 

調べることに活用されています。

 

たとえば日本人は、日本列島にもともといた縄文人と、

 

大陸から渡ってきた弥生人が混ざりあって今の日本人に

 

なったと説明されてきたと思いますが、

 

実際は縄文人も東南アジアから来た人たちと大陸から来た

 

人たちの混血であったことがわかってきました。

 

つまり、人類は歴史が記録されるようになるはるか前から、

 

大規模に移動し、混血を繰り返してきたのです。

 

ヨーロッパに住んでいる人と言えば、原始時代から

 

白い肌で金髪、青い目をしていたという印象がありますが、

 

有史以前の人骨からゲノム解析すると、実際にはまったく

 

違った姿をしていたことがわかりました。詳しくは本書を

 

読んでください、といいたいところですが、

 

青い目と白い肌も、それぞれ違った遺伝子から発生して

 

いるので、褐色の肌で青い目という組み合わせでも、

 

不思議ではないそうです。

 

文章はちょっと難しいですが、語りかけている内容は

 

とても衝撃的です。終章まで読んでいただければ、

 

人種という考え方が、生物学上は無意味であって、

 

アーリア人種の純粋な血統、などといった考え方が

 

間違っていることがわかります。

 

私個人としては、学生時代にトインビーの「歴史の研究」を

 

読んだとき、文明の間で勝者、敗者をわける考えに

 

共感できず、ずっと感じていたモヤモヤが、この本を読んで

 

晴れたように思います。

 

ゲノム研究の最前線の世界を、ぜひ体験してください。