『宗歩の角行』 谷津矢車 | ブックスタマ社長の自腹読書日記

『宗歩の角行』 谷津矢車

幕末に実在した伝説の棋士、天野宗歩を題材にした

 

谷津矢車の新作です。

 

先日、有吉佐和子の「悪女について」を

 

こちらで紹介しましたが、

 

この小説も本人が出てこず、周囲の21人の人による

 

証言で成り立っていて、宗歩の謎めいたキャラクターが

 

伝わってくるようになっています。

 

宗歩の実際の棋譜も掲載されていて、

 

将棋がわかる人なら時代を超えた臨場感が

 

感じられるのではと思います。

 

宗歩がなぜ殺されなければならなかったのか、

 

ページを進むごとに少しずつ宗歩の人生の軌跡が

 

明らかになっていきます。

 

将棋の駒の角行のような素早く相手を制する棋風そのままに、

 

駆け抜けるように将棋の世界を生きた宗歩の人柄は

 

まさに天才と呼ぶにふさわしいです。