『世界に負けない日本』 薮中三十二
北朝鮮の拉致問題を解決するため、2003年から開かれた
六者間協議の日本代表して、たびたびテレビにも登場していた
薮中三十二氏。その後事務次官まで勤め上げ、最近新刊を
出されたので、読んでみました。
日本の国益を守るために、中国や北朝鮮と丁丁発止を演じた著者が、
これからの日本人が身に着けるべき能力、これからの日本がなすべき
ことを指し示しています。
昨日アップした『「積極的平和主義」は、紛争地になにをもたらすか?!』
とは全く別の立場から書かれた本ですが、武力に頼るのではなく、
ロジックで筋道を立てて自国の利益を主張することが大切である、
という点では共通するものを感じます。
実力で現状を変更してこようとする相手に対しては、ロジックを持って
反論し、国際社会の世論を味方につけることが一番の対処法で、
平和主義の看板を下ろしたと外国から思われるような行動をとっては
国際社会で孤立して、第二次世界大戦の轍を踏むことになって
しまいます。
先日、仲裁裁判所が中国の南シナ海の領有権の主張を退けましたが、
今こそ日本は2008年の「東シナ海油ガス田共同開発合意」を元に
中国に資源の共同開発を呼びかけ、平和攻勢をかけることが
真の積極的平和主義だと思います。