フェイブルマンズ | 感想メモ

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 スティーブン・スピルバーグ監督の自伝的作品。思ったより入っていないみたいで、上映回数がどんどん減ってしまって、近所のシネコンでは見られなくなってしまった。

 

 小6(もうすぐ中学生)の息子と3人で見に行ったけれど、PG12の作品である。喫煙シーンのせいらしい?

 

 息子にはちょっと早かったかな?とも思った。

 

 というか、スピルバーグが映画作りにどうのめり込んで、どんな風に作品を作って行ったかというような楽しい作品を想像していた息子には、ちょっとこれ、違ったな?という感じなのかも。

 

 この作品は、サム(サミー)・フェイブルマン(ガブリエル・ラベル)が幼い頃に映画館に連れられて行く体験をしてから、映画に魅せられ、それを追究していく過程も描かれてはいるのだが、どちらかというとタイトルの「フェイブルマンズ」にもあるとおり、「フェイブルマン家の人々」についての話なのである。(タイトルもわかりにくいよね…。もう少し違うタイトルにすればよかったような…)

 

 フェイブルマン一家はユダヤ系で、父・バート(ポール・ダノ)、母・ミッツィ(ミシェル・ウィリアムズ)のもと、サムと妹3人の5人家族なのであるが、そこに父の親友であるベニー(セス・ローゲン)が居候しているのである。ベニーは本物のおじさんのように暮らしており、ミッツィからも子供たちからも面白い人物として家族同様に受け入れられていた。

 

 父は科学者で次第に出世して、一家はアリゾナへ引っ越すことになるが、ミッツィの強い勧めでベニーもアリゾナについていくことになる。

 

 アリゾナでは、ボーイスカウトの友達にも恵まれ、サムは映画製作にのめり込む。非常に楽しい生活を送っていたのだが、父の出世により、カリフォルニアに移り住むことになる。

 

 その前に、母を慰めるために家族キャンプの映像をまとめるように父に言われたサムは、ベニーと母の意外な事実に気づいてしまい苦悩する。

 

 ベニーはカリフォルニアにはついていかないことになり、母は段々おかしくなっていく。また、サムもカリフォルニアの人種差別的な高校になじめずにいた。

 

 しかし、キリスト教にのめり込んでいるティナ(ロビン・バートレット)がユダヤ人のハンサムなサムにほれ込んだことから、サムは何とか高校生活を送ることができるようになり、最後には卒業行事の撮影係も任される。

 

 その映像を見たかつて自分を殴ったローガン(サム・レヒナー)は、サムのもとへと飛んでいく。映像は事実を写すだけなのだけれど、編集の力で印象はガラッと変わってしまうんだろうな。

 

 サムは映像の仕事につきたかったが、父に大学に行き、卒業するよう言われる。しかし、それはサムには無理なことで…。

 

 地味な内容が続くんだけれど、時々コメディチックなところもあって、わりに飽きずに見ることができたけれど、確かに、スピルバーグのエンタメ作品のようなものを想像していると面白くはないだろうし、日本であんまり流行らないのもわかるような気もする作品ではある。

 

 特に、宗教的な背景というのは、日本人にはわかりにくい部分である。ユダヤ系なので、フェイブルマン一家はユダヤ教なので、クリスマスやライトアップみたいなのもない。キリスト教系のカリフォルニアの子供たちにめちゃくちゃ差別されているのだが、その背景もユダヤ教とキリスト教の違いがよくわからないと、あんまり理解できない。

 

 また付き合うことになるティナがものすごいクリスチャンで、イエス・キリストにぞっこんみたいな感じなのだけれど、このエピソードに関しても宗教がわからないと難しいかもしれない。

 

 あとはアメリカ人は本当にキャンプが好きだなとかそういう文化みたいなものも誰かに解説してもらえたらもっと楽しめるのかなーという気もした。

 

 それにしても、母・ミッツィがなんかすごかったな…。芸術肌だけれど、精神が不安定で…。結局は自分の欲望に忠実に生きていく人なのかもしれない。

 

 それから、映像の力。映像はありのままを写すのだろうけれど、工夫次第で見せ方を変えることもでき、編集で印象を操作することができる。映像を扱うということの責任の重さみたいなものも感じることもできた。

 

 地味だけど、なんだか面白くて、さらに見終わった後は何となく爽快感が残ってよかった。

 

 ただし、結構長い。もう少し短くてもいい気もするんだけどね…。