かつて流行った「ウエスト・サイド物語」をスティーブン・スピルバーグ監督がリメイクしたミュージカル映画。
実のところ、旧「ウエスト・サイド」を見たことがない。歌は有名なのは知っているのだけれど、何となく性に合わなそうで見たことはなかった。
今回、ちょっとした縁があって、見ることになったわけだけれど、やはりなんというか、いまいち性には合わない感じではあった。
というのは、喧嘩が絶えないストーリーが好きじゃないからかな…。
この物語は取り壊しが決まっているスラム街を舞台に、昔から住んできたポーランド移民とプエルトリコからの移民とが縄張り争いをしている話なので、男たちがずっと喧嘩っぽい感じなのだ。
女も敵対しているといえばしているのかもしれないが、男ほどではない。
そんな中、ポーランド系移民のグループ・ジェッツのトニー(アンセル・エルゴート)とプエルトリコ系移民のグループ・シャークスのボス(デビット・アルバレス)を兄に持つマリア(レイチェル・ゼグラー)が恋に落ちてしまう。
ジェッツを率いるリフ(マイク・ファイスト)はシャークスとケリをつけたがっており、決闘をすることになる。トニーは止めに行くのだが…。
ま、こんな感じの話なので、ずっと男たちの争いが続くわけ…。
そして、どんどん悲劇に向かって突き進むので、内容的にわかっているんだけど、やっぱりやるせない気持ちになる。
それと、この一目で恋に落ちるってやつね…。おばちゃんになってきちゃったせいなのか、なんかそこ、わからない…って思ってしまったりもするわけで…。
もう少し長い目で見たらどうかとか、決闘を止めに行かずに今すぐ二人で逃げたらどうかとか…。
でも、もし逃げたとしてよ…もしかしたら、その恋は長続きしなかったかもしれない…。そのくらい一目で恋に落ちるのって危なくない? 相手がどんな人かもよくわからない。それもトニーは暴力沙汰で刑務所に服役していた人なわけで…。
それにしても、この映画を見に行った翌日に、ロシアがウクライナを攻撃してしまった。
戦争はいけない、争いは何も生まない…そう思っているけれど、ウエスト・サイドの移民たちもロシアもそうは思ってないんだな。
自分たちだけがいい思いをして暮らせればいいと考えてしまうのか? お互いに似た者同士なのだから、譲歩し合ってうまくやろうという気にはならないのか?
戦いは新たな戦いを生むだけではないのか?
男たちは結局のところ平和ではなく争いを望んでいるのか?
自分たちのプライドだとか色んなことを言っていても、やっぱりただ争いたいだけなのではないのか…。
この物語も争いをやめれば、こんな風にはなっていかないわけで…。
どうにか悲劇に突き進まないでいられる方法はなかったのか…と思ってしまう。
きっと昔から人は同じようなことを繰り返している。この悲劇を繰り返さないでいくことはできないのか…。
リフはトニーを無理に誘わなければよかったのに…とか、武器を持たずに決闘するって話なのに、ナイフとかチェーンとかおまけに銃まで持ち出している汚いところはどうなんだ?とか、アニータ(アリアナ・デボーズ)が嘘言わなければ、こんなことにはならなかった…とか色々おもっちゃったよね…。
ストーリーは私好みではなかったものの、迫力ある歌と踊り、カラフルな映像は十分に堪能することができた。
旧作とはダンスとかの振り付けも違ったような気もするし、機会があったら旧作も見てみたいような…。