口福のレシピ  原田ひ香 | 感想メモ

感想メモ

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口福のレシピ

 

原田ひ香 小学館 2020

 

STORY:

実家の料理学園の後継ぎとして期待されていた留希子は、家を離れSE兼料理レシピをSNSで発信する仕事をしながら、同居人の風花とともに暮らしていた。実家の学園が危機にあり、学園に戻ってほしいと理事長の坂崎に頼まれて…。

 

感想:

 品川料理学園という老舗料理学校の後継ぎとして期待されていた留希子は、その重圧から家を飛び出す。でも、なぜか料理関係のSNSがブレイクしてしまい、料理アプリを作る仕事なども舞い込んでくるように。

 

 実家の料理学園は戦前から続く老舗の料理学校。その学園を家族が続けるには相当の困難もあったのだった。

 

 現代の留希子と並行に描かれるのが、女中奉公として品川家に入ったしずえの物語。かつて学園の名物レシピとなり、入校者を増やした豚肉の生姜焼きのレシピを考案したのはしずえであり、そのレシピが完成するまでには様々な苦労があった。

 

 そのしずえは、料理学園を存続させるために妾になる道を選ぶ。そして、自分の子供とは一度も会わず、別の家で一人で暮らすことを選ぶのだった。

 

 留希子も知らなかった歴史が、次第に明かされていき、「レシピには著作権はない」と実家と対立していた留希子の心が変化していく。

 

 そこまでしても続けてきた料理学園を留希子の代で途絶えさせてもいいのか? そして、結婚相手として理事長に迎えられたと噂されていた坂崎と実家のごたごたに巻き込まれ付き合っていくうちに、二人はお互いの良さに気づいていく。

 

 原田ひ香さんはこの間読んだ「まずはこれ食べて」という本がかなり厳しい内容だったので、これもそういう話かな?と思ったけれど、こちらは家族の歴史ものとして興味深く読むことができた。

 

 今は料理学校なんていうと、どっちかというと廃れているようなイメージもあるのだが、SNSとか色々取り入れるのが新しい時代には必要なのかもしれないな…なんて思ったりした。

 

 留希子の生き方よりもしずえの生き方がすごいかなと思ったり…。

 

まずはこれ食べて