月刊ブックルーム -2ページ目
10月4~5日に読書会の合宿へ参加してきました。

午前9時にJR国分寺駅南口に集合し、群馬県くつろぎの郷へ。

日曜日ということもあり、下りの高速道路はスイスイで、ほぼ2時間で現地へ到着しました。

碓氷峠越え~めがね橋~軽井沢でお食事~軽井沢高原文庫~買い出し~コテージ~温泉と

盛りだくさんの時を過ごして夜は、宴会(…おススメ本発表会)となりましたニコニコ


宴会後半の、ほぼ‘できあがった’状況で発表されたおススメ本は

以下の通り(カッコ内は出版社もしくは著者)。

・『思想地図 Vol.3』(NHKブックス)

・『中央線の呪い』(三善里沙子著)

・『ボックス!』(百田尚樹著)

・『猫と庄造と二人のをんな』(谷崎潤一郎著)

・『ルポ 貧困大国アメリカ』(堤美果著)

・『新・源氏物語』(田辺聖子著)

・『私本・源氏物語』( 〃 )

・『木村伊兵衛の眼』(コロナ・ブックス)

・『寡黙なる巨人』(多田富雄著)

※酔っ払いながらメモを取っていたので、不足や誤りがあったら、ご指摘くださいパー


お酒(日本酒ドキドキ)の力も手伝ったせいか、かなり盛り上がった発表会でした。


Q84。3巻発売か!!?


きましたね、やっぱり。

私は単純に嬉しいですけれども…。

このあいだのブックルームでも続編に関しては

いろいろなご意見がありましたよね。



改めて、またよんだのですが、「 Q84」ああ、好きだなあ…。




私の好きな要素がこれでもかと詰まった話です。

女性目線で描かれていること(青豆部分)

もうひとつの世界、という設定。

主人公同士の純愛が(正攻法ではないが)描かれていること。




「国境の南、太陽の西」も読み直しましたが、

やっぱり青豆さんって、

「国境の南、太陽の西」の

島本さんに通じているものがあるなあ、と。

ぴんと一本筋の通った、ぶれない生き方。

どこにいても、必ず一人で困難に立ち向かっていく、強靭な精神力。

愛情の深さ。

など…。


島本さんの過去についてはほとんどがヴェールに包まれているので

わかりませんが、島本さんももしかしたら青豆さんに匹敵するような

ハードな人生だったのかもしれませんね。


「国境~」まだ読んでらっしゃらない方は、

是非この機会に読んでみてくださいませ♪



春樹さんの作品って、わりとたんたんとした「やれやれ」が口癖の

「僕」が、どうにもわけのわからないムツカシイ女性たちに翻弄される…
感じが多いではないですか。
一癖も二癖もあって、あきらかに尋常ではないのに自分の行動に

いささかの迷いもない女性たち。
はっきりいえば、何考えてんだか全くわかんない女性たち。
女目線で見ると、こんな女いないっつーの、と思うような女性たち。


でも、青豆さんという女性を通して、今まで春樹さんの描いてきた女性たち
も活き活きと蘇ったというか…。
そんな意味で、読んでいてとても興奮しました。

(今までも、わからないながらも春樹の描く女性は好きだったんですが、
そこにさらに親密さが増した、という感じです)


3巻がでるとするならば、ぜひとも青豆さんに幸せになってもらいたいものです…。


ノーベル賞今回はならずでしたが、やっぱり春樹さんは永遠ですchinami





山崎方代という歌人の存在を、先日初めて知りました。


生まれは甲州鶯宿峠に立っている 
なんじゃもんじゃの股からですよ


大正3年、山梨生まれ。

方代は本名で、その由来は生き放題、死に放題のホウダイだと、著書の中で言っています。そのあたりで既に伝説めいた御仁ではありませんか。



真っ黒いさくらの花がぼたぼたと 
散りあらそえり瞳は盲いていく


戦争で右目を失明し、残る左目も白内障や緑内障を患っていた方代は横浜や大船あたりを転々とし、最後は鎌倉の小さなプレハブ小屋「艸庵」に永住。


  ここらあたりは相州鎌倉郡字手広 艸庵の札下げてこもりたり 


  瑞泉寺の和尚がくれし小遣いを たしかめおれば雪が降りくる


  
長谷坂の坂のくぼみを卯の花が白くこまかく染めて散っている



いつもみボサボサの髪にみすぼらしい身なり。話すことはその時々で全く違う、と

つかみどころのない方代。

しかし、例えば瑞泉寺の住職は方代が訪ねれば必ず1万円を「お布施だよ」と言って渡したり、長年の知り合いが、住むところのない方代のために自分の家の敷地にプレハブ小屋を作って電気や水道もひき住まわせたりと、多くの人が彼の人柄に親しみを覚え、その独特のユーモアに惹きつけられてしまうのです。


   

  ある朝のできごとでしたこおろぎが 
              わが欠け茶碗とびこえゆけり


  おのずからもれ出る嘘のかなしみが 
              すべてでもあるお許しあれよ


  いつまでも握っていると石ころも 身内のように温まりけり


  冬の日が部屋に溜まって赤いので 
              両手でそっと掬い上げてみる


  寂しくてひとり笑えば茶ぶ台の上の茶碗が笑いだしたり


   こんなにも湯呑茶碗があたたかく しどろもどろに吾はおるなり



   


彼は酒好きで、昼から飲むのはあたりまえ、八幡宮前あたりをカップ酒片手に散歩していたそうです。ただ、彼の「酒」は人前、特に女性と話すことの怖さを紛らわせるためのものだったのかもしれません。そんな気弱なところもある方代なのでした。


  あきらめは天辺の禿のみならず 屋台の隅で飲んでいる


  わからなくなれば夜霧に垂れ下がる 
               黒きのれんをわけて出てゆく


  焼酎の酔いの醒めつつ見ておれば 障子の桟がたそがれてゆく



一生を独身で過ごした方代。

それでも、彼の歌にはなんともいえない色気があります。


  桑の実に口赤く染めてかわしたる 
             かの指きりのことはまもれり


  くらがりの鏡のすみに鼈甲の 櫛落ちておるせつないのだよ


  声をあげて泣いてみたいね夕顔の 白い白い花が咲いている


茶碗の底に梅干しの種二つ並びおる 
             ああこれが愛と云うものだ


  一度だけ本当の恋がありまして 南天の実が知っております



一度だけの恋の相手。それは同人仲間の広島の女性でした。肺病を病む彼女を見舞いに行き一世一代の愛の告白をしますが、やんわりと断られ、それ以後二度と会うことはなかったようです。


地上より消えゆくときも人間は暗き秘密を一つ持つべし

  誤って生まれ来しことのあやまちを 最後に許し死なしめ給え


私が死んでしまえばわたくしの心の父はどうなるのだろう



  めずらしく晴れたる冬の朝なり 手広の富士においとま申す


方代は昭和60年、肺がんのため70年の生涯を閉じました。
異端の歌人、放浪の歌人と呼ばれながら一方で「方代さん」と
多くの人に親しまれた彼の歌碑は瑞泉寺にあります。

  手のひらに豆腐をのせていそいそと 
             いつもの角をまがりて帰る






角を曲がったその先で、方代さんと出会えるような…そんな気がする今日この頃です。