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本と本屋が大好きな私の、おすすめする本です。

「価値がわかる宝石図鑑」 (諏訪恭一 ナツメ社)

 

つい先日、「鉱石の標本」というものをもらいました。

12種類の石が並んでいます。が、

説明書の名前と印刷が不鮮明で

ひとつひとつの石の名前がわからない。

私は、鉱物とか鉱石とか天然石とか宝石とか

そういう言葉の違いもわからない素人なので

ネットで調べても欲しい情報に

なかなかたどりつけませんでした。

 

鉱物の名前、その和名、色の範囲、

同じグループのもの、見ため目は同じでも違うもの、

見た目は違うのに同じもの。

結晶。

研磨する前のなめらかな姿や

カットされたあとの宝石の姿。

そういうものを全部見渡せるような

わかりやすい本を探しまわって

たどりついたのがこの本。

知りたいことが全部のっていて

何より写真がほんとうにきれいで

寝る前に眺めていると

質のいい夢を見ます。

 

ある石が、長い長い時間の果てに

今、自分の手元にきているという偶然性、とか

身を飾るものとして

誰かから誰かへと手渡される

御縁のありがたさ、とか

そういうことの価値がわかるようになると

 

鉱石の標本も、形見の帯留めも

存在感がぜんぜん違うものになりました。

新しい興味の引き出しが開き始めるときの

気持ちのいい状態を味わえる一冊。

 

 

        

「自分の時間を取り戻そう」(ちきりん ダイヤモンド社)

 

今年は、私は働き方と暮らし方を大きく変えたので

小さなことから大きなことまで

リセットし続ける毎日でした。

とくに時間とお金の使い方が激変。

 

自分にとって納得のいかない時間の浪費や

満足度の低い支出、というものが

ほぼ無くなりました。

その結果ストレスは激減し

機嫌と体調がものすごく良くなった。

今まで、どれだけ自分が

「自分にとって有限で大切なものが

納得のいかないまま消えていて、

そのことが心身を歪ませていたか」が

よくよくわかりました。

 

そんな実感にひたっていたときに読んだ

この本。

今の自分にとっての大切な資源を理解し

その資源の無駄遣いに敏感になることが

毎日の質を高める・・・と語る筆者の言葉は

自分があいまいなまま感じていたことが

きれいに力強く整えられていて

共感と納得しまくりです。

 

    自分は何を手に入れたいのか。

    欲しいものを正確に理解すること。

 

    時間とお金という人生の希少価値を何に使うのかは

    どの段階であれ、極めて自覚的に決めていくべきこと。

    貴重な資源を、これまでやってきたことに

    これからもつぎ込み続ける必然性はない。

 

自分が本当にほしいもの、は

人によって違うし

年齢や生活によって変化します。

今の自分は、何にお金を使うのがほんとうに楽しいのか。

そこを見極められれば、

自分にとって価値の高いこと以外には支出しなくなるし

やりたいことと、そうでもないことが

明確に区別できるようになる。

そして、人の目が気にならなくなる。

・・という言葉は、とても納得のいくものでした。

 

「時間がお金など、有限で貴重な資源」と

「手に入れたいモノ」に関係について

柔軟に考え、そして考え尽くすときのコツが

力強く語られる本です。

たとえば大学時代に、

そして仕事や職業を無選ぶときに、

または30代、40代の生活に疑問をもったとき、

働き方を方向転換したいときに、ぜひ。

 

この本のなかに、

「最近の有効なお金の使い方のトップ3は?」

という問いかけがありました。

私自身のトップ1は

「MBTの靴」です。

横森理香さんのエッセイで絶賛されていたこの靴は

独特の構造なので

履くと体の軸がまっすぐになって、歩きかたが整い

筋肉も静かに鍛えられるというもの。

スポーツには縁遠く、でも歩くのが大好きな私は

最近はこれを履いて1日1時間~2時間くらい

楽しく歩いてます。すごくいい。

 

「人生を踊るように生きて行こう」

                (横森理香  方丈社)

 

最近、自分の生活のかたちが

「今の自分に最適」なものにどんどん変化しています。

たとえば「読書量が激減した」。

その理由としては

・自作の雑貨のネット販売のことをあれこれやっていると

あっという間に時間が過ぎる

・今まで、読書時間として固定されていた「電車での通勤時間」が

消滅した

・小説に関心がなくなった

・読後感が悪いものは、読む前に回避できるようになった

・数回の断捨離を経て、本を買うのを自制するようになった

・・・などがあるのですが

本をあまり読まなくても別に困っていない、という自分に

自分でびっくりです。

人生の前半、浴びるように、または水を飲むように

活字と関わり続けてきて、

読書の質と量の大きな節目が来たらしい。

人って変わるものだ!としみじみ思います。

 

そういう内面の節目も感じますが、

体の節目も実感してます。

今の私の最楽な生活リズムである

「朝四時半に起きて、夜八時半に就寝」が確立してからは

毎日本当に体調はいいのですが

それでも、弱点である婦人科系や眼のトラブルは頻発するし

先月はいきなり左膝が曲がらなくなり、

膝の関節のズレを治してくれる治療院にたどりくまで

けっこう大変でした。

 

そういう自分の心身のメンテナンスに

時間と気持ちを注げるような働き方、生き方の先輩モデルを

私は身近には持っていません。

だから横森理香さんのエッセイは

「少し年上の信頼できる先輩女子が

あれこれ教えてくれる」的に嬉しいのです。

 

   「老化」は体の「酸化」、つまり軽い「炎症」です。

 

   自分が会って、楽しい人とだけ会う。

   誘われたら、早い時間帯なら、話に乗る。

 

読みながら、ああ、わかるわかる、とうなずきながら

自分の今までやってきたことを残しつつ、

新しいことを始めるわくわくや、

人が集まれる場を作るわくわく、など

「自分のこれからの人生のわくわくの種」が

もらえるような一冊です。