本人の思いが赤裸々に明かされる
米アップルの創業者で、今年10月5日に死去したスティーブ・ジョブズ氏の56年にわたる生涯を描いた本書を今年最大の話題作といっても過言ではあるまい。
10月24日に発売されたI巻は評伝としては異例の初版10万部でスタート。11月1日発売のII巻と合わせ、発売からわずか10日目で100万部の大台を突破した。
なぜこんなに売れたのか。死去の余熱が冷めないタイミングで発売されたため、ファンが飛びついたのも理由の一つだが、それだけでミリオン達成は難しい。講談社学芸図書出版部の柿島一暢さんは「あまりジョブズを知らない人でも、(高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」など)身の回りにある製品を作った人がどういう人なのかを知りたい気持ちがあったのではないか」と分析する。
その言葉通り、読者層は幅広い。当初は30~40代のビジネスマンをメーンの読者層と想定し、男女比率も男性が7割と見込んでいた。ところがふたを開ければ、女性の比率は5割近く、中学生や高校生からも支持を集めた。
取材嫌いで知られるジョブズ氏が唯一、全面協力した「公認本」であったことも人気を後押ししたに違いない。「これを読めば、ジョブズが『そのとき』に何を考えていたのかが決定的に分かる」(柿島さん)というように、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏との対立、アップル社内での人間関係、そして女性遍歴などについて、ジョブズ氏本人の思いが赤裸々に明かされる。
100人を超える関係者への取材を重ね、欠点をも含めたジョブズ氏の生きざまを描いた。数々の製品を通じ、時代を変えた革命児の発想を学ぶビジネス本としてだけでなく、「人間スティーブ・ジョブズ」を知るのに最適の本だろう。
講談社 (2011-11-02)
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