『沈黙の森』  馳星周 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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沈黙の森/馳星周
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***この本は2010年2月に読了しました***
暴力団・東明会の金を持ち逃げした男が、軽井沢に潜伏している。金額は五億。東明会はもとより、大金の臭いを嗅ぎつけた危険な連中が、この閑静な別荘地に現れ、血眼になって男の行方を捜しはじめた。かつて新宿で「五人殺しの健」と呼ばれ名を馳せたが、今は軽井沢で別荘管理人として静かに暮らす田口健二のもとにも協力を要請する輩が訪れ、事態は急変する。雪山に乱反射する、欲望、復讐、狂気―すべてが暴力に収斂していく。圧倒的な筆致で現実世界に迫る、馳星周の最新長篇。
(Bookデータベースより)


20年前、新宿で中国人5人を殺害し、「5人殺しの健」と呼ばれ誰からも恐れられたヤクザ田口健二。
その後、忽然と姿を消し、現在は軽井沢で別荘管理人として血と暴力とは無縁の暮らしをしていた。
そんな中、突如訪れたチンピラの男に、暴力団・東明会の裏金5億円を持ち逃げした男が軽井沢へ潜伏していると言う話を聞かされ、一緒に男を探し出し5億円を山分けしようと持ちかけられる。
過去とは真逆の生活を送っていた田口は、歯牙にもかけず男を追い返す。
しかしそれを皮切りに田口にもとに次々と昔の知り合い達が訪れ、田口に協力を要請していく。
断固として首を縦に振らない田口だが、過去はいとも簡単に現在の田口を飲み込んでいった。
やがて軽井沢は、血で血を洗う、欲望と抗争と復讐の町と化す……。




「森の枯れ葉を生き血で染めてやろう。植物も動物も喜ぶだろう。」


序盤は、淡々と進んでいく。
ひっそりと暮らしていた田口の前に現れるさまざまな人間達。
昔の組仲間や、敵対する組の若頭、昔新宿で修行していた地元の組長、長野県警のクセモノ警察官。
さらには田口に心寄せるフリーカメラマンの女性。



「この森の中で、一体、何人死ぬんだ?」


中盤からラストにかけ、もうとにかく人がバタバタと死んでいきます。
ヤクザから堅気から警察官まで。もうバッタバッタと。銃撃戦にナイフに闘犬に。
何かを感じると言うよりは、ただただTHEバイオレンス!な作品です。


冬の軽井沢を舞う雪の白さを、飛び散る赤い血飛沫が染め上げていく。
ここまでいくと、人がバタバタと死んでいく様はむしろ痛快。
ただあるときは用意周到すぎてなんだか潔くない感じだったり、殺しに関しても、ある人には容赦なく何の感情も持たず殺すのに、人によっては殺さず生かしておく。
そこにチグハグ感を感じてしまいました。


内容的には、もう少しヒネリが欲しかったです。鈴木とグルになってた黒幕風の男を絡ませるとか。
しかも最後には結局ブツもどこにいったのかもわからんし、ここまで田口を掻き立てた心内の描写も弱かったかな・・・。
血沸き肉踊る描写は良かったけど、ストーリー的には単調に感じてしまいました。
まぁそれでも先に先にと読ませる筆力はさすがでした。



★★



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