『さまよう刃』 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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読んだ小説&観た映画の感想中心のブログです。基本的には良い評価でのレビューを心がけています。レビューと言うか、ただの感想だったりしますがw 過去に読んだのもあり。自分の備忘録も兼ねてます♪貴方のオススメの映画や本があったら教えて♪漫画の紹介も始めました♪

貴方の忘れられない本&映画は何ですか?



***この映画は2009年10月に観ました***

むごたらしい事件によって、大切な一人娘を亡くした長峰(寺尾聰)。ある日、娘を殺した人物の名前と居場所を偶然知った長峰は、犯人の少年の一人を殺害。後日、もう一人の犯人を追う長峰から、殺害の自供と現行の少年法への憤りをつづる手紙が警察に届く。一方、長峰を追う捜査本部の織部(竹野内豊)は、法と正義のはざまでやるせない思いを抱いていた。
(シネマトゥデイより)



少年法が問題になった事件と言えば、H市母子殺害事件を思い出します。
先日、被告の実名が掲載されている本の出版差し止めが話題にもなっていました。
そして、この映画も少年法の問題が描かれています。
現行の司法制度は、被害者や遺族の気持ちよりも加害者の更生や権利に重きを置かれていると言う批判が多く出ていたりしています。



「わが国の法律では未成年者に極刑は望めない!」



犯人は、少年法に守られ、更生と社会復帰を目的とした理由により、刑罰とは言い難い判決になることを長峰は知っていた。
そして、自らの手による復讐が何も解決しないことを自分自身分かっていながらも、突き動かされるかのごとく少年犯を追っていく・・・。




貴方の忘れられない本&映画は何ですか?



同時に描かれるのは、警察という組織に属する二人の刑事、真野(伊藤四郎)と織部(竹野内豊)。

「我々はあんな奴のために毎日捜査を続けている。あいつに更生するチャンスを与え、そして被害者の目の届かないところに隠そうとしている」

「それがこの国の司法制度だ」

「俺たち警察は、市民を守ってるわけじゃない。
 警察が守ろうとしているのは、法律の方ってことですか」


警察が守るのは正義なのか法律なのか・・・。




長峰が最初に犯人の一人殺してから、ラストに至るまでの心のうちの描写がもっと欲しかった。
長峰が警察に送った手紙や、酒井美紀演じる山小屋の娘からの説得だけでは弱かった印象を受けました。
原作ではもっと、長峰の心の葛藤が描かれていた気がします。
原作を読んでいたのでまだ分からなくもなかったですが、それでもなぜ長峰がラストの展開の気持ちになったのかが、腑に落ちない、「?」な印象を受けてしまいました。
そういう意味では、この作品での寡黙な長峰が良くもあり、悪くもあったかな、と。
逆に真野と織部の方は、警察としての苦悩や葛藤、やるせなさがうまく伝わってきました。



貴方の忘れられない本&映画は何ですか?



東野圭吾の原作はずいぶん前に読んだので、細部は忘れていました。
映画は暗く重いテーマだったのに加え、映像化を目の当たりにし不快感の方が強く印象に残ってしまいました。
重いテーマに見合った重厚感溢れる演技でしたが、ストーリー的に疑問符がつく場面が多かったのも残念でした。
警察に追われていながらペンションを計画性もなく探し回るところや猟銃が出てくるタイミング、その渡し方とかの展開は、どう観てもちょっと稚拙だったかなぁと。
主役どころの配役や演技は良かっただけに、細部の綻びが目についてしまいました。
原作で非常に考えさせられた作品だっただけに、ちょっと残念だったかな。
でも原作を読んでなければ、考えさせられるテーマだけに面白く観れるかと思います。



★★★



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