刑期を終えて出所したおじいちゃんが、わたしの家に帰ってきたのは、13歳のときだった。
中学生になり、五代珠子はいじめを受けるようになった。学校では男子生徒による校内暴力、家では両親が不仲になり、地上げ屋の厭がらせが続く。
同居する祖母は、祖父の帰宅の連絡を知るなり、家を出ていってしまう。「嫌いだからね」という、夫婦なのに。
珠子に降りかかるさまざまな問題を、帰ってきたおじいちゃん=グランパは、軽快に解決していくのだが・・・。
「時をかける少女」から20年以上を経て、刊行された筒井康隆ジュブナイルである。1999年8月、文藝春秋刊。読売文学賞受賞。
読んで気になった点を二つ。
後半で、グランパとやくざの組長が、脇差しを向け合い、決着をつけようとする場面がある。その後「話はついた」と、組長はグランパを解放するのだが、どうして話がついたのか、いまひとつわからない・・・。
ま、グランパの「迫力」と「人望」、そしてなにより、孫娘、珠子への無償の「愛情」の成せる業なのだろう、と勝手に思うことにして、本を閉じることにした。
気になるといえば、珠子と紀子のその後。美人の新入生、紀子の、珠子に対する好意が。こっちの展開、もうちょっと読んでいたかったなあ。
わたしのグランパの続編はさすがにないだろうが。二人が、とても気になる・・・。
☆わたしのグランパ・筒井康隆・文藝春秋・1999年8月刊行。文庫化2002年6月・文春文庫。