勝ちタイムが2分8秒3ととても遅いものです。1馬身が0.2秒とすると良馬場での勝ちタイムより約10秒遅いので、良馬場と比較して最低でも50馬身は遅いことになります。ここまで馬場が悪くなると単なる重巧拙は関係なくなります。レース当日、レース時ともに雨が沢山降っていました。下は不良、雨はゴーゴーと過去に例を見ない天皇賞秋では最極悪の状態でのレースでした。重が下手な馬はまず脱落(精神的に諦める)。重が巧い(やや克服する)中でより精神的にタフな馬が上位入線したことになります。重が下手な代表がサトノアラジン。重巧者で上位にこれなかったのが、ステファノス、ネオリアリズム。また切れを最大の武器とするディープインパクト産駒は3着と5馬身差で4着となったリアルスティールが最先着となりました。おそらくリアルスティールは重までなら、もっと上位に着ていたと思います。この勝ちタイムでの上位入線条件は重巧者で、なおかつ精神的にタフな馬。それと付け加えるなら、少しでも良いと思われる外々を回るので、長距離適性も必要となりました。良馬場及び通常の重馬場まではマイル傾向が強いですが、ここまで馬場が悪化すると少なくとも2500㍍以上の長距離レースとなりました。この天候を事前に予測できなく、当欄でもリアルスティールを推奨馬としました。まことに不足の至る所です。このような馬場状態になることも今後は考えるようにします。新たな教訓です。
さて勝ったキタサンブラックですが、この馬は本当に我慢強い馬です。平成のおしんです。武豊ジョッキーも、道中は徐々に前に行き、4角では2番手となり、直線は外々に出しサトノクラウンの追撃を退けました。春の天皇賞はレコードで勝ち、この秋の天皇賞はレース史上最も遅いと思われるタイムでの勝利となりました。この馬の真骨頂は何事にも動じない強い精神力です。武道にも通じるものがあります。名付けて馬道を極めた馬といえます。本年後2戦で引退となります。その強い精神力で頑張ってもらいたいものです。
それと武豊ジョッキーですが、富士S(10/21雨不良)においてエアスピネルでも、直線で今回と同じようなコース取りをして一着となっていました。今回はそのレースの再現となりました。東京競馬場での不良の雨は私に任せなさい。そう言わんばかりの絶妙な騎乗でした。今回の天候が事前に予測出来て、なおかつエアスピネルでの武豊ジョッキーを思い起せば、1着はキタサンブラックしか考えられないことが事前に分かります。本当に何歳になっても新たな反省を貯金する日々です。賢明な人にとってはとても簡単な勝ち馬考察であったのかも知れません。
それでは皆さん GOOD LUCK(TY)