『保健室から見える本音が言えない子どもたち』

 桑原朱美

 青春出版社 2023228

「自分で決めてもいい」ということは、自分の人生は自分のものであるという大切な人生の前提を伝えること」


「わからない」「察して欲しい」など、自分のことを言語化できない、決められない子の心の奥にあるものは?元保健室の先生による一冊。



自分で決めるという経験の不足

大人妖怪「ツクシてあげ騎士(ナイト)と障害物スイーパー」の存在

決める時の基準や迷った時の思考の方法を知らない

決めた自分自身を信頼できない

決めた結果を自分で引き受ける覚悟がない

などの理由から、自分で決めることのできない子どもが多い。


・「自分で決める、行動する、完結させる」という体験が少ない子は、社会に出たときに、躓いてしまうことが少なくない。


・自分が「これが現実」だと思っていることは、自分自身が脳に入力した言葉で作られる。人間の意識の焦点はたった一つ。その焦点にどんな言葉を「入力」するかで現実の見え方が変わる。どんな現実をつくりたいかを決めて言葉にしよう。


・主体性は「思考力・判断力・責任・チャレンジ力」の総合力。「脳科学傾聴」で子どもの「決める力」を育てよう。


・子どもの話聴くということは、「話の内容」を通して、相手の内面(思い込み、ブレーキ、潜在的な可能性)を理解すること。


・大人の色眼鏡を外して、「今、どんなに大変な状況にあって、どんな感情にとらわれていても、自分でそれを乗り越える力がある存在」として子どもに関わろう。


・視覚優位、体感覚優位など五感の使い方には個人差がある。人間は無意識に相手も自分と同じだと考え、自分のペースで物事を進めようとするが、相手のペースを尊重して合わせる「ペーシング」を心がけよう。


・子どもの年齢や理解度に合わせた丁寧なキャッチボールを。そうすればコミュニケーションミスを減らすことができ、日常会話の中でオートクラインが起きるようになる。


・「提案の否定=自分への否定」と捉えず、「もっと良い企画にするため、意見をもらうために提案する」、「どうやったらこの企画を通せるなと考えるようにすると、恐れなどの余計な感情は起きなくなる。



・「自分で考える方法がわからないから、誰かがうまくいった方法を手に入れたい」、「絶対に間違っていない正解が欲しい」という大人もいる。大人も子どもも自分で考えることを放棄して、答えを外部に求めている限り、その問題が解決することはない。


・自分で考える、自分で決める、自分でやってみる、試行錯誤してこそ自分の糧になる。


・未来を決めずにいると、「一般的には、この年齢はこうなるもの」という勝手な思い込みが現実化する。小さなことでも、きちんと決めて言語化すると、脳の動きが変わり、未来が変わる。


・決める場面は日常の中でたくさんあり、何を決めるかで現実は変化する。ますば大人が自分の人生をきちんと決める姿を見せよう。子どもは大人の言ったことは聞かないが、大人のやっていることはすぐにまねする。


・ゴールを決めたら行動しよう。結果をコントロールすることはできないということを受け入れることも必要。



「先生、決めて」「お母さんがこう言ったから」など、自分の気持ちや希望を言語化できない(しない)「察してほしい」子どもたちが増えているというが、それは子ども世代だけではなくて、私たち親世代にも当てはまる問題なのではないかと思いながら読み進むがやはりそんなふうな記述も


私などは子どもの頃から、教壇の上からは「個性」とか「自分の意見」を持つように「教育」「指導」されながらも、現実的には「目立たないよう」「人と違うことをしないよう(言わないよう)」「空気を読んで」生きることが正解だと刷り込まれていた世代だと自覚している(年齢は聞かないでね)。


新卒で入った会社は実力主義で、窮屈なことや堅苦しいことは少なかったけれど、例えば早番で午前中から出勤していても、午後から来た上司や同僚が忙しく働いているのを見たら


「早番だから帰ります」


と言えるような「空気」ではなかったし、ちょっとした体調不良で早退したり休んだりできるような「雰囲気」でもなかった。他の業種で働く友人知人たちも概ね同じようなことを言っていたと思う。


また官公庁に勤める知人などからは、業務の改善やスリム化を提案すると、

「それは前任者の顔を潰す行為だ」と叱責されたという話も聞いた。


日本以外で働いたことはないから、諸外国の事情はよく分からないし、自分より上の世代の方の事情もよく知らないが、この国では子どもの世界も大人の世界も同調圧力が強いと感じる。個性や独自性を発揮することや権利を主張することが「嫌われる」ような風土だと感じることもある。


でもだからこそ、今からでも自分の考えを述べたり、自分の意見や気持ちを伝える訓練は積んでいかなくてはいけないのだとも思う。子どもたちが「自分の人生」を切り開いてゆけるよう、親として力を尽くしたいと思った。


Here in Japan, there is a lot of pressure to conform, so people seldom say how they truly think or feel, but it IS time to change.  We have to move on and learn how to express our thoughts and start discussing our feelings.